【初心者向け】PM(プロジェクトマネージャー)とは?仕事内容からなり方まで徹底解説!

【初心者向け】PM(プロジェクトマネージャー)とは?仕事内容からなり方まで徹底解説!

【初心者向け】PM(プロジェクトマネージャー)とは?仕事内容からなり方まで徹底解説!
疑問に思う顔
「エンジニアとして経験を積んだ先には、どんなキャリアがあるんだろう?」
「プロジェクトをまとめるリーダーって、具体的に何をする人なの?」

 

IT業界でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせると、必ずその先に存在する一つの大きな目標として見えてくる職種。それが**「PM(プロジェクトマネージャー)」**です。

PMは、単なるチームリーダーではありません。一言でいうと、PMとは**「システム開発というプロジェクトの『全責任』を負い、品質・コスト・納期(QCD)を管理し、プロジェクトを成功というゴールに導く、開発現場の最高責任者・総監督」**のことです。

 

航海に例えるなら、優秀な航海士(エンジニア)や機関士(デザイナー)がいても、船は目的地にはたどり着けません。彼らをまとめ、天候を読み、食料を管理し、時に厳しい決断を下しながら、船全体を目的地まで導く**「船長」**。その役割を担うのが、PMなのです。

 

この記事では、IT業界初心者の方でもPMの仕事がわかるように次の内容をわかりやすく解説していきます。

 

  • PMの具体的な仕事内容と役割

  • よく似た職種(PL, PdM)との違い

  • PMのやりがいと、求められる厳しい現実

  • PMになるための王道キャリアパス

 

PMの仕事内容:プロジェクトの「ゆりかごから墓場まで」を見届ける

PMの仕事内容:プロジェクトの「ゆりかごから墓場まで」を見届ける

 

PMの仕事は、プロジェクトが生まれる前から始まり、無事に完了するまで続きます。

その仕事は非常に多岐にわたりますが、プロジェクトの進行に合わせて見ていきましょう。

 

1. プロジェクト開始前~計画フェーズ:「勝利への航路図」を描く

戦いが始まる前に、すでに勝敗の多くは決まっていると言われます。PMにとって最も重要な仕事の一つが、この計画フェーズです。

  • 企画・提案:顧客の「こんなことがしたい」という漠然とした要望に対し、「それなら、こういうシステムを作りましょう」と具体的な企画を提案し、プロジェクトの立ち上げを承認してもらいます。

  • 要件定義:顧客とエンジニアの間に立ち、システムに求められる機能や性能(要件)を明確にし、文書にまとめます。ここで「何を作るか(スコープ)」を確定させます。

  • WBSの作成:要件を実現するために必要なタスク(作業)をすべて洗い出し、細かく分解して構造化します(Work Breakdown Structure)。

  • 体制・スケジュール・予算の策定:洗い出したタスクをもとに、「誰が(体制)」「いつまでに(スケジュール)」「いくらで(予算)」開発するか、というプロジェクト全体のマスタープランを策定します。この計画の精度が、プロジェクトの成否を大きく左右します。

 

2. プロジェクト実行・管理フェーズ:「船」を巧みに操縦する

計画という航路図ができたら、いよいよプロジェクトという船を出航させます。ここからは、PMの手腕が日々問われることになります。

  • 進捗管理:計画通りにプロジェクトが進んでいるかを常に監視します。各メンバーの作業状況を把握し、遅れが出ている場合は、その原因を特定し、対策を講じます。

  • 品質管理(Quality):出来上がったシステムが、顧客の要求する品質基準を満たしているか、バグが多すぎないかをチェックし、管理します。

  • コスト管理(Cost):人件費や機材費などが、予算内に収まっているかを管理します。予算を超過しそうな場合は、顧客と交渉したり、作業の効率化を図ったりします。

  • 納期管理(Delivery):これが最も重要視される要素の一つです。何があっても、決められた納期にプロジェクトを完了させることがPMの使命です。

  • 課題管理・リスク管理:「技術的に実現が難しいことが判明した」「メンバーが急に体調を崩した」「顧客から急な仕様変更の要望があった」など、プロジェクトには予期せぬ問題(課題・リスク)が次々と発生します。PMは、これらの問題に冷静に対処し、解決策を見つけ出し、プロジェクトへの影響を最小限に食い止めます。

 

3. プロジェクト終結フェーズ:「航海」を締めくくる

無事にシステムを納品し、プロジェクトが完了した後も、PMの仕事は終わりません。

  • 検収・納品:完成したシステムを顧客に確認してもらい、問題がないことを承認してもらいます(検収)。

  • プロジェクトの評価(振り返り):今回のプロジェクトで「何がうまくいき、何が問題だったのか」をチームで振り返り(KPTなど)、次のプロジェクトに活かすための教訓を文書化します。

 

PMとよく似た職種との違いは?

PMとよく似た職種との違いは?

 

PMの役割をより明確にするために、よく混同される2つの職種との違いを見ておきましょう。

  • PM vs PL(プロジェクトリーダー)

    • PM(監督):プロジェクト全体の**「管理」「外部(顧客や経営層)」**に対する責任を負う。

    • PL(キャプテン):PMの下で、数名~十数名の開発チームをまとめ、現場の**「実行」「内部(チームメンバー)」**に対する責任を負う。PLは、PMが立てた計画を、現場で実現させるためのリーダーです。

  • PM vs PdM(プロダクトマネージャー)

    • PM:**「プロジェクト(作る過程)」**に責任を持つ。「納期内に、予算内で、仕様通りに作ること」がミッション。

    • PdM:**「プロダクト(製品・サービスそのもの)」**に責任を持つ。「その製品が市場で成功するか、ユーザーに愛されるか」がミッション。PdMは、何を・なぜ作るかを決め、PMはそれをどうやって作るかを管理します。

 

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PMのやりがいと、背負うべき厳しい現実

PMのやりがいと、背負うべき厳しい現実

 

PMは、多くのエンジニアが目指す魅力的なポジションですが、その責任は非常に重く、決して楽な仕事ではありません。

やりがい

  • 圧倒的な達成感:多くの困難を乗り越え、チーム一丸となって巨大なプロジェクトを成功させたときの達成感は、他の職種では味わえない格別なものです。

  • ビジネスへの貢献実感:自分のマネジメントによって、顧客のビジネスが成功したり、社会にインパクトを与えたりするのを直接感じることができます。

  • 大きな裁量と自己成長:プロジェクトの舵取りを任されるため、大きな裁量権を持って仕事を進められます。また、技術、ビジネス、マネジメントと、非常に幅広いスキルが身につくため、飛躍的な自己成長が期待できます。

  • 高い報酬:プロジェクトの成否を左右する重要な役割であるため、年収水準はIT業界の中でも高く、キャリアアップに応じて大きく伸びていきます。

 

厳しい現実

  • 板挟みのプレッシャー:「もっと安く、早く」と要求する顧客と、「それは技術的に無理だ」という現場のエンジニアとの間で、常に板挟みになります。両者の意見を調整し、落としどころを見つける精神的なタフさが求められます。

  • 全責任を負う重圧:プロジェクトが失敗すれば、その責任はすべてPMが負うことになります。納期遅延や予算超過など、常に失敗のリスクと隣り合わせのプレッシャーに耐えなければなりません。

  • 長時間労働になりがち:プロジェクトが炎上(問題が多発)した場合など、問題解決のために長時間労働を余儀なくされることも少なくありません。

 

PMになるための王道キャリアパス

PMになるための王道キャリアパス

 

PMは、豊富な経験と幅広いスキルが求められるため、未経験からいきなりなれる職種ではありません。エンジニアとして、着実にステップアップしていくのが一般的です。

  1. 【Step1】プログラマー/SEとして現場を知る(3~5年)
    まずは開発者として、システム開発の一連の流れを肌で感じ、技術的な基礎を固めます。ここで現場の大変さやエンジニアの気持ちを理解することが、将来PMになったときに必ず活きてきます。

  2. 【Step2】PL(プロジェクトリーダー)としてチームを率いる(2~5年)
    次に、数名の小さなチームを率いるPLとして、メンバーのタスク管理や小規模な進捗管理といった、マネジメントの第一歩を経験します。

  3. 【Step3】PM(プロジェクトマネージャー)へ
    PLとしての実績が認められ、より大きなプロジェクト全体を任されるPMへと昇格します。この段階で、PMP (プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル) や、国家資格である**プロジェクトマネージャ試験(PM)**といった資格を取得すると、自身のスキルを客観的に証明でき、キャリアアップの強力な武器になります。

 

まとめ

まとめ

 

PM(プロジェクトマネージャー)は、単なる技術者や管理者ではありません。**技術、ビジネス、そして「人」を深く理解し、強いリーダーシップと責任感で、困難な航海を成功に導く「船長」**です。

その道のりは険しく、背負うプレッシャーも大きいですが、チームを率いて一つの目標を成し遂げる喜び、そして社会に大きな価値を生み出す達成感は、何物にも代えがたいものです。

もしあなたが、エンジニアとして経験を積んだ先で、「自分の手で、もっと大きなものを動かしてみたい」と考えるなら、PMというキャリアは、目指すに値する、最高にエキサイティングなゴールの一つと言えるでしょう。

 

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