
「SAPが有名だけど、他にも種類があるの?それぞれの違いや将来性ってどうなんだろう?」
企業の経営を支える「頭脳」や「神経網」として、今やなくてはならない存在となったERP(統合基幹業務システム)。
そのERPを実現するための具体的なソフトウェアが「ERPパッケージ」です。
この記事では、これからIT業界を目指す初心者の方でも、主要なERPパッケージの全体像がつかめるように、わかりやすく比較・解説していきます。
「そもそもERPがよくわからない」という方は、まず”【初心者向け】ERPとは?企業の「頭脳」と「神経」をわかりやすく徹底解説!”を参照ください。
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世界市場をリードする「ビッグ3」の特徴と強み
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日本で強い存在感を放つ国産ERPパッケージ
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それぞれの将来性と、どんな企業に向いているか
世界市場を席巻するERP「ビッグ3」:SAP, Oracle, Microsoft
まずは、グローバル市場で圧倒的なシェアを誇り、世界中の大企業で使われている3つの巨人からご紹介します。
1. SAP S/4HANA:「ERPの王様」にして、絶対的ガリバー
開発元 | SAP社(ドイツ) |
特徴 |
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強み |
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どんな企業に向いているか? |
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将来性:★★★★★(極めて高い) |
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「うちの会社、SAPを導入するらしい」 「転職するならSAPのスキルがあると強いよ」 ビジネスやITの世界で、こんな会話を耳にしたことはありませんか?「SAP(エス・エー・ピー)」は、多くの大企業が利用する非常に有名なシステ[…]
2. Oracle NetSuite / Oracle Fusion Cloud ERP:「クラウド時代の挑戦者」
開発元 | Oracle社(アメリカ) |
特徴 |
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強み |
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どんな企業に向いているか? |
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将来性:★★★★★(極めて高い) |
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3. Microsoft Dynamics 365:「Office連携でビジネスを加速」
開発元 | Microsoft社(アメリカ) |
特徴 |
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強み |
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どんな企業に向いているか? |
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将来性:★★★★☆(高い) |
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日本市場で存在感を放つ国産ERP
世界では上記のビッグ3が強いですが、日本の商習慣や細やかなニーズに対応した、国産のERPパッケージも根強い人気を誇っています。
4. COMPANY
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開発元:Works Human Intelligence社
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特徴:人事・給与領域に特化したERPとして、日本の大手企業グループで圧倒的なシェアを誇ります。日本の複雑な人事制度や給与体系に完璧に対応できるのが最大の強みです。
5. OBIC7
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開発元:オービック社
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特徴:会計情報を中核として、販売、人事、生産などの機能を統合したERP。日本の商習慣に合わせたきめ細やかな機能と、手厚いサポート体制で、中堅企業を中心に高い評価を得ています。
6. GRANDIT
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開発元:GRANDITコンソーシアム(複数の大手SIerが共同で開発)
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特徴:日本のビジネスプロセスに最適化された、完全WebベースのERP。中堅企業向けに、柔軟なカスタマイズ性を売りにしています。
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国産ERPの将来性:★★★☆☆(安定的)
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グローバルな競争では海外勢に分がありますが、「日本の複雑な要件に、かゆいところに手が届く」という強みは、今後も一定の需要を保ち続けるでしょう。特に、人事領域のCOMPANYのように、特定の分野でデファクトスタンダード(事実上の標準)となっている製品は、安定した地位を維持し続けます。
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まとめ:ERPの未来は「クラウド」と「データ活用」
ERPパッケージの世界は、**「オンプレミスからクラウドへ」**という巨大な地殻変動の真っ只中にあります。かつての絶対王者SAPも、クラウドネイティブのOracle NetSuiteや、Office連携のMicrosoft Dynamics 365といった強力な挑戦者の猛追を受け、クラウドへのシフトを加速させています。
今後のERPの将来性を占うキーワードは、
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クラウド化:導入スピード、柔軟性、コストの面で、クラウドERPが主流になる流れは揺るがない。
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データ活用:ERPに蓄積された膨大なデータを、いかにAIなどで分析し、リアルタイムの経営判断に活かせるか。
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UI/UX:専門家でなくても、直感的に使える、優れたユーザー体験を提供できるか。
です。
ERPは、企業の経営そのものを動かすダイナミックな世界です。
その中心で活躍できる人材は、これからもIT業界の主役であり続けることは間違いありません。
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