【初心者向け】同期処理と非同期処理とは?違いをわかりやすく解説!

【初心者向け】同期処理と非同期処理とは?違いをわかりやすく解説!

【初心者向け】同期処理と非同期処理とは?違いをわかりやすく解説!
メガネが光る人のイラスト(男性)
「非同期処理で、画面の表示が速くなった!」
「この処理は同期的に実行されるから、完了を待つ必要がある」

プログラミング、特にJavaScriptやWeb開発を学んでいると、必ずと言っていいほど登場するのが**「同期処理」「非同期処理」**という言葉です。

この2つの概念は、プログラムのパフォーマンスや、ユーザー体験(UX)を大きく左右する、非常に重要な考え方です。

 

しかし、その違いは初心者にとって、少しイメージしづらいかもしれません。

この記事では、IT知識ゼロの初心者の方でも、同期・非同期処理の本質がスッキリと理解できるように、わかりやすく解説していきます。

 

  • 人気のラーメン屋さんの行列に例えて、その違いを徹底解説

  • それぞれのメリット・デメリット

  • どんな場面で、どちらが使われるのか

  • なぜ、特にJavaScriptでこの概念が重要なのか

 

同期処理・非同期処理のすべては「一つの処理が終わるのを待つか、待たないか」

すべては「一つの処理が終わるのを待つか、待たないか」

 

同期処理と非同期処理の根本的な違いは、たった一つです。

それは、**「時間のかかる一つの処理を呼び出したとき、その処理が終わるのを、その場でじっと待つか、待たないか」**という点に尽きます。

 

この違いを、大人気のラーメン屋さんに並ぶお客さんと、店員さんの働き方に例えて、見ていきましょう。

同期処理:「真面目で、一つずつ順番にこなす店員さん」

ここに、非常に真面目で、一つの仕事が終わるまで絶対に次の仕事に手を出さない、ベテラン店員さんが一人いるラーメン屋さんがあります。

 

【同期的なお店の流れ】

  1. **Aさん(お客さん)**が来店し、「醤油ラーメンを一杯!」と注文します。

  2. 店員さんは、Aさんの注文を受けたら、すぐに厨房に入り、麺を茹で始めます。

  3. (ここが重要!) 店員さんは、麺が茹で上がり、ラーメンが完成するまで、厨房の前でじっと待ち続けます。 この間、レジは無人になり、次のお客さんであるBさんやCさんが「すみませーん!」と呼んでも、店員さんはAさんのラーメンが完成するまで、一切対応できません。

  4. Aさんのラーメンが完成し、提供が終わって初めて、店員さんはレジに戻り、次のBさんの注文を取りに行きます。

 

これが**「同期(Synchronous)処理」**です。

特徴

  • プログラムは、書かれた上から順番に、一つずつ実行される。
  • 一つの処理が終わるまで、次の処理には進まない(処理がブロックされる)
  • 処理の流れが直感的で、理解しやすい

 

プログラミングで言えば、「時間のかかる処理(例:サーバーからのデータ取得、ファイルの読み込み)」を呼び出したときに、その処理が完了して結果が返ってくるまで、プログラム全体が停止してしまう状態です。

 

非同期処理:「要領が良くて、待ち時間を有効活用する店員さん」

次に、非常に要領が良く、待ち時間を無駄にしない、スーパー店員さんが一人いるラーメン屋さんを見てみましょう。

 

【非同期的なお店の流れ】

  1. **Aさん(お客さん)**が来店し、「醤油ラーメンを一杯!」と注文します。

  2. 店員さんは、Aさんの注文を受けたら、すぐに厨房に注文票を渡し、「醤油ラーメン一丁!できたら教えて!」と伝えます。

  3. (ここが重要!) 店員さんは、Aさんのラーメンが出来上がるのを待ちません。 すぐにレジに戻り、次のBさんの注文を取りに行きます。「塩ラーメンですね!厨房に伝えておきます!」

  4. さらに、Cさんの注文も取ります。「味噌ラーメンですね!承知しました!」

  5. 店員さんがBさん、Cさんの注文をさばいている途中で、厨房から「お待たせしました!醤油ラーメン、上がりましたよ!」と声がかかります。

  6. その声を聞いた店員さんは、そのタイミングでAさんの元へ、完成した醤油ラーメンを運びに行きます。

 

これが**「非同期(Asynchronous)処理」**です。
  • 特徴

    • 時間のかかる処理を呼び出しても、その完了を待たずに、すぐに次の処理に進む

    • 時間のかかる処理は、裏側で勝手に進められる。

    • 処理が終わったら、**「終わりましたよ」という通知(コールバック)**が来て、その後の処理が実行される。

 

プログラミングで言えば、「時間のかかる処理」を呼び出した後も、プログラムは停止せず、他の処理をどんどん進めることができます。これにより、ユーザーを待たせることなく、快適な操作性を提供できるのです。

同期処理・非同期処理のメリットとデメリット、そして使い分け

メリットとデメリット、そして使い分け

 

同期処理 非同期処理
メリット
  • 処理の順序が保証される
  • コードが直感的で、追いやすい
  • ユーザーを待たせない(UX向上)
  • リソースを有効活用できる(パフォーマンス向上)
デメリット
  • 重い処理で全体が停止する(ブロッキング)
  • ユーザー体験が悪化しやすい
  • コードが複雑になりやすい
  • 処理の順序の制御が難しい

 

同期処理が使われる場面

  • 処理の順序が非常に重要な場合

    • 銀行の振込処理:「①残高を確認する」→「②送金先の口座にお金を振り込む」→「③自分の口座から残高を引く」。この順序が崩れると、大変なことになります。このような一連の処理(トランザクション)は、同期的に実行される必要があります。

  • シンプルなスクリプト

    • 書いた上から順番に実行されれば良い、単純なプログラム。

 

非同期処理が使われる場面

  • 時間のかかるI/O(入出力)処理が伴う場合

    • Web APIからのデータ取得:外部のサーバーからデータを取ってくるのには、数秒かかることもあります。この間、画面が固まってしまったら、ユーザーはアプリを閉じてしまうでしょう。

    • ファイルの読み書き:大きなサイズのファイルを読み込む処理。

    • タイマー処理setTimeoutのように、「3秒後にこの処理を実行して」とお願いする場合。

 

特に、現代のWebアプリケーションでは、**ユーザーの操作を妨げない、スムーズなユーザー体験(UX)**が非常に重視されるため、非同期処理が多用されます。

なぜ、JavaScriptで「非同期」が重要なのか?

question

 

同期・非同期の概念は多くの言語に存在しますが、特にJavaScriptの世界では、この「非同期」が極めて重要なキーワードとなります。

その理由は、JavaScriptがもともと**「シングルスレッド」、つまり「店員さんが一人しかいない」**という言語仕様だからです。

 

店員さんが一人しかいない同期的なお店では、一人の客のラーメンが出来上がるまで、店全体が完全にストップしてしまいましたよね。

Webブラウザで動くJavaScriptも同じです。もし、重たいデータ取得を同期的に行ってしまうと、その間、Webページ上のすべての操作(ボタンのクリック、スクロールなど)が、完全にフリーズしてしまうのです。

これは、致命的なユーザー体験の悪化に繋がります。

 

だからこそ、JavaScriptでは、時間のかかる処理は**「非同期」**で実行し、ブラウザをフリーズさせないようにすることが、基本的な作法となっているのです。

 

このJavaScriptの非同期処理を、サーバーサイドでも効率的に活用したのが**「Node.js」**です。Node.jsが、シングルスレッドでありながら高いパフォーマンスを発揮できる秘密は、この非同期処理の仕組みにあります。

 

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【JavaScriptにおける非同期処理の書き方】

昔は「コールバック関数」という、コードが複雑になりがちな(通称:コールバック地獄)書き方が主流でしたが、現在では、より直感的に書ける、新しい構文が用意されています。

  • Promise:非同期処理の「未来の結果」を表すオブジェクト。

  • async/await:Promiseを、まるで同期処理のように、スッキリとした見た目で書くことができる、魔法のような構文。

 

これからJavaScriptを学ぶ方は、ぜひこの**async/await**の使い方をマスターすることを目指しましょう。

 

まとめ

Thinking

 

同期処理非同期処理の違いは、時間のかかるタスクに対する「待ち方」の違いです。

  • 同期処理は、一つのタスクが終わるまで、その場でじっと待つ、真面目で直列な処理方式。

  • 非同期処理は、タスクの完了を待たずに次の仕事に進み、終わったら知らせてもらう、要領が良く並行的な処理方式。

 

Webの世界では、ユーザーを待たせない快適な体験を提供するために、非同期処理が不可欠です。特に、JavaScript(そしてNode.js)は、この非同期処理を前提として設計された言語であり、その仕組みを理解することが、一人前のWeb開発者になるための登竜門と言えます。

 

「この処理は、待つべきか、待たざるべきか」。
この視点を持つだけで、プログラムの動きが、より深く、より立体的に見えてくるはずです。

 

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