【初心者向け】SPAとは?従来のWebサイトとの違いをわかりやすく解説!

【初心者向け】SPAとは?従来のWebサイトとの違いをわかりやすく解説!

【初心者向け】SPAとは?従来のWebサイトとの違いをわかりやすく解説!
疑問に思う顔
「GmailやGoogleマップって、なんであんなにサクサク動くの?」
「ページを移動しても、画面が白くならないサイトがあるけど、どういう仕組み?」
「SPA(エスピーエー)って聞くけど、普通のWebサイトと何が違うの?」

 

私たちが日常的に使うWebサービスの中に、まるでデスクトップのソフトウェアや、スマートフォンのネイティブアプリのように、非常にスムーズで、ストレスのない操作感を提供してくれるものがありますよね。

 

その快適なユーザー体験(UX)の裏側には、現代のWebアプリケーション開発の主流となっている、**「SPA(シングルページアプリケーション)」**という、画期的な設計思想が存在します。

 

一言でいうと、SPAとは**「最初にたった一枚のHTMLページを読み込んだ後は、ページ遷移のたびにページ全体を再読み込みするのではなく、JavaScriptが、必要なデータだけをサーバーと通信して取得し、ページの一部だけを動的に書き換えることで、まるで一つのページ内で全てが完結しているかのように見せる、Webアプリケーションの構築手法」**のことです。

 

この記事では、IT知識ゼロの初心者の方でも、SPAの本質がスッキリと理解できるように、**「本を読む」**という行為に例えながら、わかりやすく徹底的に解説していきます。

 

  • SPAが登場する前の、従来のWebサイト(MPA)との決定的な違い

  • SPAが「サクサク動く」魔法の仕組み

  • SPAのメリットと、知っておくべきデメリット

  • なぜ、SPAの開発にはReactやVue.jsが必要なのか

 

 

物語の始まり:従来のWebサイト「MPA」という名の「紙の本」

物語の始まり:従来のWebサイト「MPA」という名の「紙の本」

 

SPAのすごさを理解するには、まず、それとは対照的な、古くから存在するWebサイトの仕組み**「MPA(マルチページアプリケーション)」**を知る必要があります。

MPAは、私たちが普段「ホームページ」と聞いてイメージする、ごく一般的なWebサイトの作り方です。

 

企業のコーポレートサイトや、多くのブログサイトなどが、このMPAに該当します。

 

MPAを、**「紙の本」**に例えてみましょう。

  1. あなたは、まず「目次」のページ(トップページ)を開きます。

  2. 「第3章」が読みたいと思い、目次のリンクをクリックします。

  3. すると、あなたは一度、本を閉じて、全く新しい「第3章」のページを、本棚から取り出して、開き直す必要があります。

  4. 「第3章」を読み終え、次は「第5章」を読みたくなったら、また本を閉じ、**新しい「第5章」のページを、本棚から取り出して…**と、これを繰り返します。

 

これが、MPAの基本的な動きです。

 

ユーザーが、ページ内のリンクをクリックするたびに、

  1. ブラウザは、サーバーに対して「次の、新しいHTMLファイルを、まるごと一枚ください」とリクエストを送ります。

  2. サーバーは、リクエストに応じた、全く新しいHTMLファイルを、ブラウザに返します。

  3. ブラウザは、その新しいHTMLファイルを、**ゼロから、ページ全体を再読み込み(リロード)**して表示します。

この**「移動のたびに、ページ全体を、まるごと読み込み直す」という仕組みのため、どうしてもページの切り替え時に、一瞬「画面が真っ白になる」**という現象や、「待ち時間」が発生してしまいます。

 

これが、従来のWebサイトが、どこか「もっさり」とした操作感になってしまう、大きな原因でした。

 

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革命の到来:SPAという名の「魔法の電子書籍リーダー」

革命の到来:SPAという名の「魔法の電子書籍リーダー」

 

このMPAの「もっさり感」を解消し、ネイティブアプリのようなスムーズな操作性を、Webブラウザ上で実現したのが**「SPA(シングルページアプリケーション)」**です。

 

SPAは、例えるなら**「高機能な、魔法の電子書籍リーダー」**です。

  1. あなたは、最初に一度だけ、**書籍の全データ(ただし、最初は目次だけが表示される、空っぽの器のようなもの)**を、リーダーにダウンロードします。

  2. 「第3章」が読みたいと思い、目次のリンクをタップします。

  3. リーダーは、本棚(サーバー)に、**「『第3章』の文章データだけください」**と、必要な部分だけをリクエストします。

  4. 本棚(サーバー)は、文章データだけを、リーダーに送り返します。

  5. リーダーは、受け取った文章データを使って、現在表示されている画面の、本文エリアだけを、瞬時に「第3章」の内容に書き換えます。
    ページ全体の枠組み(ヘッダーやフッターなど)は、一切変わりません。

 

これが、SPAの魔法の仕組みです。

 

最初に、アプリケーションの「器」となる、たった一つのHTMLページ(だから**”シングルページ”**)を読み込みます。

 

その後は、

  1. ユーザーのアクションに応じて、

  2. JavaScriptが、裏側で、サーバーと必要なデータだけを、非同期通信(Ajax)でやり取りし、

  3. そのデータを使って、**現在のページの、一部分だけを、動的に書き換える(DOM操作)**ことで、画面遷移を実現します。

 

これにより、ページ遷移のたびに発生していた**「ページ全体の再読み込み」が、一切なくなります。**

ユーザーは、まるで一つのページの中で、サクサクとコンテンツが切り替わっていくような、非常にスムーズで、高速な体験を得ることができるのです。

 

Gmail、Googleマップ、Facebook、Twitterといった、私たちが日常的に使う、高度なWebサービスは、このSPAのアーキテクチャを採用しています。

 

SPAのメリットとデメリット

SPAのメリットとデメリット

 

SPA (シングルページアプリケーション) MPA (マルチページアプリケーション)
ユーザー体験(UX) 非常に高い(高速、スムーズ) 普通(ページ遷移ごとにもたつく)
開発 複雑性が高い シンプルで、分かりやすい
初期表示速度 遅い(最初に大きなJSファイルを読み込む) 速い(各ページは軽量)
SEO 対策に工夫が必要 有利
例えるなら 魔法の電子書籍リーダー 伝統的な紙の本

 

SPAのメリット

  • 圧倒的に優れたユーザー体験(UX):最大のメリットです。ページ遷移が高速で、ネイティブアプリのような滑らかな操作感を提供できるため、ユーザーの満足度が非常に高くなります。

  • フロントエンドとバックエンドの完全な分離:フロントエンド(見た目)は、APIを通じてサーバーからデータ(JSON形式)を受け取ることに専念し、バックエンド(裏側の処理)は、データの提供に専念する、という役割分担が明確になります。これにより、それぞれのチームが独立して、並行で開発を進めやすくなります。

 

SPAのデメリット

  • 初期表示速度が遅くなりがち:最初に、アプリケーション全体のロジックを担う、大きなJavaScriptファイルを読み込む必要があるため、ユーザーが最初の画面を目にするまでに、少し時間がかかる場合があります。

  • 実装の複雑性:ページの状態管理や、ブラウザの「戻る」ボタンの挙動など、MPAでは当たり前だったことを、すべてJavaScriptで自前で実装する必要があるため、開発の難易度が上がります。

  • SEO(検索エンジン最適化)の難易度:伝統的な検索エンジンのクローラーは、HTMLを読んでページ内容を理解します。SPAでは、最初のHTMLはほぼ「空っぽ」で、JavaScriptが実行されて初めてコンテンツが表示されるため、クローラーが内容を正しく認識できない、という問題がありました。(現在では、SSR: サーバーサイドレンダリングなどの技術で、この問題は大幅に改善されています)

 

なぜ、SPAの開発にはReactやVue.jsが必須なのか?

question

 

「JavaScriptでページの一部を書き換えるだけなら、別にjQueryとかでもできるんじゃないの?」

その通りです。しかし、Gmailのような複雑なアプリケーションを、素のJavaScriptやjQueryだけで作ろうとすると、**「状態管理」**が破綻し、あっという間に「スパゲティコード」地獄に陥ります。

 

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「今、どのメールが開かれている状態か?」「返信ウィンドウは表示されているか?」「未読メールの数はいくつか?」といった、無数の**「状態(State)」**を、手動で、矛盾なく管理し、それに応じてDOMを正確に更新し続けるのは、人間業ではありません。

 

そこで登場するのが、ReactVue.jsといった、SPAを構築するための、強力なJavaScriptライブラリ/フレームワークです。

 

これらのツールは、

  • 仮想DOMによる、超高速な差分更新。

  • コンポーネント指向による、UIの部品化と再利用。

  • 宣言的UIによる、「状態」の管理の簡略化。

といった、SPAを効率的に、そして堅牢に構築するための、ありとあらゆる仕組みを提供してくれます。

 

ReactやVue.jsは、まさに「SPAを作るために生まれてきた」技術なのです。
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まとめ

 

SPA(シングルページアプリケーション)は、最初に読み込んだ一枚のページの上で、JavaScriptがデータと見た目を動的に書き換えることで、ネイティブアプリのような高速なユーザー体験を実現する、現代のWebアプリケーションの標準的な構築手法です。

 

それは、ユーザーを「ページリロードの待ち時間」という、Web黎明期からの呪縛から解放し、Webの可能性を、単なる「情報閲覧」のツールから、**「高度な操作が可能な、アプリケーションプラットフォーム」**へと、大きく飛躍させました。

 

このSPAという概念と、それを支えるReactやVue.jsといった技術を理解することは、あなたが、単に静的なホームページを作る「コーダー」から、**ユーザーに最高の体験を届ける、モダンな「フロントエンドエンジニア」**へと進化するための、避けては通れない、重要な道しるべとなるでしょう。

 

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