【初心者向け】ソフトウェアライセンスとは?OSSの代表的な種類を徹底解説!

【初心者向け】ソフトウェアライセンスとは?OSSの代表的な種類を徹底解説!

【初心者向け】ソフトウェアライセンスとは?OSSの代表的な種類を徹底解説!
疑問に思う顔
「オープンソースのソフトウェアって、本当に無料で、自由に使っていいの?」
「GitHubにあるコードを、自分のプログラムにコピペしても大丈夫?」
「MITとかGPLとか、ライセンスの種類がいろいろあるけど、何が違うの?」

 

プログラミングの世界に足を踏み入れると、私たちは**OSS(オープンソースソフトウェア)**という、偉大な巨人の肩の上に立つことになります。

OS、プログラミング言語、ライブラリ、フレームワーク…。開発に必要なツールのほとんどが、世界中の開発者たちの善意によって、無料で、そしてソースコードと共に公開されています。

 

しかし、この「無料」で「自由」という言葉には、一つだけ、絶対に守らなければならない、大切な**「ルールブック」が添えられています。
それが、
「ソフトウェアライセンス」**です。

 

一言でいうと、ライセンスとは**「そのソフトウェアの作者(著作権者)が、利用者に対して、『このルールさえ守ってくれるなら、自由に使っていいですよ』と、使い方や条件を定めた、法的な『利用許諾契約』」**のことです。

 

この記事では、プログラミング初心者の方が、知らず知らずのうちにルール違反を犯してしまわないように、わかりやすく徹底的に解説していきます。

 

  • なぜ、ライセンスの理解が、プログラマーにとって「必須教養」なのか?

  • OSSライセンスの基本的な考え方

  • 代表的なライセンス**「MIT」「Apache 2.0」「GPL」**の決定的な違い

  • ライセンスを確認する方法と、扱う上での心構え

 

 

なぜライセンスは重要?「無料=無制限」ではない!

Creative Process

 

まず、大前提として理解しておくべきことがあります。

たとえオープンソースであっても、著作権は、そのソフトウェアを作成した作者(または組織)にあります。

 

「無料だから」「ソースコードが公開されているから」といって、著作権が放棄されているわけでは、決してありません。

 

もし、ライセンスという「ルールブック」がなければ、私たちは、他人が作ったソフトウェアを、一切利用することも、コピーすることもできません。

それは、著作権法で固く禁じられているからです。

 

ライセンスは、作者が**「私の著作物ですが、このライセンスに書かれた条件を守ってくれる限りにおいて、あなたは、これを自由に利用、改変、再配布することを、特別に許可します」**と、私たち利用者に、法的な「お墨付き」を与えてくれる、非常にありがたい存在なのです。

 

逆に言えば、ライセンスに書かれた条件を無視することは、契約違反であり、著作権侵害という、法的なトラブルに発展する可能性を秘めています。

 

特に、企業でソフトウェアを開発するエンジニアにとって、ライセンスの正しい理解は、会社をリスクから守るための、必須の知識となります。

 

関連記事

「LinuxっていうOSが、無料で使えるって本当?」「WordPressを使えば、無料で本格的なブログが作れるらしい」「GitHubにあるコードって、自由に使っていいの?」   ITの世界に触れていると、このように[…]

初心者向け】オープンソースとは?無料の謎からOSSのメリットまで徹底解説!

 

OSSライセンスの基本的な考え方

OSSライセンスの基本的な考え方

 

OSSライセンスには、何百種類ものバリエーションが存在しますが、その多くは、利用者に対して、以下のような権利を許可しています。

  • 利用する権利:ソフトウェアを、個人利用でも、商用利用でも、自由に使える。

  • 複製する権利:ソフトウェアを、自由にコピーできる。

  • 改変する権利:ソースコードを、自分の目的に合わせて、自由に改造できる。

  • 再配布する権利:複製したり、改変したりしたソフトウェアを、他人に配布できる。

 

その代わり、利用者には、いくつかの「義務」が課せられます。その義務の内容によって、ライセンスの「性格」が大きく変わってきます。

 

代表的なOSSライセンス:3つの性格を知ろう

代表的なOSSライセンス:3つの性格を知ろう

 

ここでは、数あるOSSライセンスの中から、特に重要で、よく目にする3つのライセンスを、その「性格」と共に紹介します。

 

1. MITライセンス:「どうぞ、ご自由に」- 寛容な自由人タイプ

  • 正式名称:MIT License

  • 採用例:jQuery, Ruby on Rails, React, Vue.js, .NET Core, VS Code

  • 性格:非常に制約が緩く、寛容。オープンソース界の「自由人」。

  • 利用者に課せられる、たった一つの義務

    • 「著作権表示と、このライセンス条文を、あなたのソフトウェアにも含めてくださいね」

 

MITライセンスは、これだけです。

あなたが、MITライセンスのコードを使って、新しいソフトウェアを開発し、それを販売したとしても、

  • あなたのソフトウェアのソースコードを、公開する必要はありません。

  • あなたのソフトウェアを、どんなライセンスで販売しても構いません。

 

「私の名前さえ残してくれれば、あとは好きにしていいよ!」という、非常にシンプルで、ビジネスフレンドリーなライセンスです。そのため、多くの人気ライブラリやフレームワークで採用されています。

 

2. Apacheライセンス 2.0:「自由だけど、特許には気をつけてね」- 現実主義な優等生タイプ

  • 正式名称:Apache License 2.0

  • 採用例:Android, Swift, TensorFlow, Docker

  • 性格:MITライセンスと同様に制約が緩く、商用利用しやすい。ただし、特許に関して、少しだけ追加のルールがある「現実主義者」。

  • 利用者に課せられる主な義務

    • 著作権表示と、ライセンス条文を含めること。(MITと同じ)

    • もし、あなたがソースコードを改変した場合は、その箇所を明記すること。

    • 特許権に関するルール:あなたが、このソフトウェアに関連する特許を持っていたとしても、他の人がこのソフトウェアを使うことを、その特許で妨害してはいけませんよ、というルール(特許ライセンスの許諾)。

 

Apacheライセンス2.0も、ソースコードの公開義務はなく、非常にビジネスで使いやすいライセンスです。

 

MITライセンスに、特許に関する保護を加えた、より現代的で、企業間の利用に適したライセンス、とイメージすると良いでしょう。

3. GPL (GNU General Public License):「自由を、次の世代にも」- 強い信念を持つ思想家タイプ

  • 正式名称:GNU General Public License

  • 採用例:Linux, WordPress, GCC

  • 性格「ソフトウェアの自由」という、強い信念を持つ「思想家」。その自由を守るため、利用者にも、同じ自由を保証することを求める。

  • 利用者に課せられる、最も重要な義務

    • コピーレフト (Copyleft):もし、あなたがGPLライセンスのソフトウェアを改変したり、一部を組み込んだりして、新しいソフトウェアを公開・配布する場合は、その新しいソフトウェアのソースコードも、同じくGPLライセンスで公開しなければならない。

 

この**「コピーレフト」**という考え方が、GPLの最大の特徴です。

これは、「私たちが保証した『ソースコードを見る自由、改変する自由』を、あなたが独り占めして、ソースコードを非公開にしてビジネスをすることを許しません。

あなたが受けた恩恵は、次の人にも、同じ形で引き継いでくださいね」という、自由の連鎖を強制する、強力なルールです。

 

そのため、GPLのライブラリを、自社のプロプライエタリ製品(ソースコード非公開の製品)に組み込んで販売してしまうと、自社の製品のソースコードも、すべて公開しなければならなくなる、という重大なライセンス違反になります。

 

企業で開発を行うエンジニアは、このGPLの扱いには、特に注意が必要です。

 

ライセンスは、どこで確認できる?

ライセンスは、どこで確認できる?

 

  • GitHub:リポジトリのトップに、LICENSELICENSE.mdという名前のファイルが置かれているのが一般的です。

  • 公式サイト:ソフトウェアの公式サイトの、ダウンロードページや、ドキュメントの中に、必ずライセンスに関する記述があります。

  • ソースコード内:ソースコードのファイルの先頭に、コメントとしてライセンスが記載されていることもあります。

 

何かを使おうと思ったら、まずライセンスを確認する。これを、プログラマーの「お作法」として、必ず習慣づけましょう。

まとめ:ライセンスは、感謝と尊敬の「ルールブック」

まとめ:ライセンスは、感謝と尊敬の「ルールブック」

 

ソフトウェアライセンスは、面倒な法律の話、ではありません。

それは、素晴らしいソフトウェアを、無償で世界に提供してくれている、先人たち(開発者コミュニティ)に対する、**「感謝」と「尊敬」の念を、行動で示すための、具体的な「ルールブック」**です。

 

  • ライセンスは、ソフトウェアの「取扱説明書」であり「利用許諾契約」。

  • MIT, Apache 2.0は、ビジネスでも使いやすい、寛容なライセンス

  • GPLは、**「コピーレフト」**という、ソースコードの公開義務を持つ、強力なライセンス。

  • 何かを使う前には、必ずライセンスを確認する癖をつける。

 

オープンソースの世界は、このライセンスという、紳士的なルールの上に成り立っています。

そのルールを正しく理解し、尊重すること。

それができれば、あなたは、世界中のエンジニアたちが何十年もかけて築き上げてきた、巨大な知識と技術の資産を、自由に、そして安全に、自分の力として使うことができるのです。

 

関連記事

将来性のあるIT業界で、専門スキルを身につけて活躍したいでも、 何から勉強すればいいの? 実務経験ゼロで本当に採用される?」膨大な求人情報の中から、自分に合った企業をどうやって見つけるの?   現代において[…]

未経験からSEへ!初心者のための転職サイト&エージェント徹底解説14選