【初心者向け】SAPコンサルタントとは?仕事内容から年収、なり方まで徹底解説!

【初心者向け】SAPコンサルタントとは?仕事内容から年収、なり方まで徹底解説!

【初心者向け】SAPコンサルタントとは?仕事内容から年収、なり方まで徹底解説!
疑問に思う顔
「コンサルタントって何だかすごそうだけど、何をする人?」
「SAPっていうシステムがあるのは知ってるけど、SAPコンサルタントって何が違うの?」

IT業界やビジネスの世界で、ひときわ高い専門性と高年収で知られる憧れの職業、それが**「SAPコンサルタント」**です。

彼らは、企業の経営そのものに深く関わる、非常に重要な役割を担っています。

 

一言でいうと、SAPコンサルタントとは**「企業の経営課題をヒアリングし、SAPという世界最強の経営ツールを使って、その課題を解決するための最適な方法を提案・実現するプロフェッショナル」**のことです。

 

例えるなら、腕利きの**「経営のお医者さん」**です。企業の「なんだか儲からない」「業務が非効率だ」といった悩みを問診し、レントゲンや血液検査(現状分析)を行い、SAPという最高の処方箋を使って会社を健康で元気な状態に導いていくのです。

この記事では、IT業界初心者の方でもSAPコンサルタントの仕事がわかるように、わかりやすく解説していきます。

 

  • SAPコンサルタントの具体的な仕事内容

  • 専門分野とSAPエンジニアとの違い

  • 仕事のやりがいと厳しさ

  • SAPコンサルタントになるためのキャリアパス

 

SAPコンサルタントの仕事の流れ:企業の変革をリードする

SAPコンサルタントの仕事の流れ:企業の変革をリードする

 

SAPコンサルタントの仕事は、単にシステムの導入方法を教えるだけではありません。

企業の経営戦略レベルから関わり、プロジェクトの最初から最後まで、そしてその後のフォローまで、長期にわたって顧客と伴走します。

 

1. 企画・構想フェーズ:「会社の未来」を共に描く

すべての始まりは、企業の経営層や事業責任者との対話です。「海外に進出したい」「3年後に売上を2倍にしたい」「バラバラの社内システムを統一して、経営状況をリアルタイムで見えるようにしたい」といった、企業の大きな夢や課題を共有してもらいます。

 

SAPコンサルタントは、これらの壮大な目標に対し、**「その夢を実現するために、SAPをどのように活用できるか」**という視点で、IT戦略の青写真を描いていきます。この段階では、企業のビジネスモデルそのものを深く理解する力が求められます。

 

2. 要件定義フェーズ:「あるべき姿」を具体化する

企画が承認されたら、次はいよいよ具体的なシステム導入プロジェクトが始まります。ここでは、経理、営業、製造など、各部門の現場担当者にヒアリングを行います。

 

「現在の業務は、どんな手順で行っていますか?」
「どんな情報が、どこで管理されていますか?」
「何に困っていますか?」

 

現状の業務プロセス(As-Is)を徹底的に分析し、SAPを導入することで実現できる、より効率的で理想的な業務プロセス(To-Be)を定義していきます。そして、その理想の姿を実現するために、SAPのどの機能をどう使うべきか、具体的な要件に落とし込んでいきます。

 

この時、重要なのは**「Fit to Standard」**という考え方です。これは、企業の現行業務を無理やりシステムに合わせるのではなく、SAPに組み込まれている世界標準の優れた業務プロセス(ベストプラクティス)に、企業の業務を合わせていくという発想です。SAPコンサルタントは、時に業務改革の必要性を説き、現場の抵抗を乗り越えながら、会社全体をより良い方向へ導いていきます。

 

3. 設計・開発フェーズ:システムの仕様を決定し、開発を管理する

要件定義が終わると、SAPの具体的な設定(パラメータ設定)や、追加開発(アドオン)の仕様を決めていきます。

 

  • パラメータ設定:SAPは、プログラムを書かなくても、様々な設定値を変更するだけで、企業の業務に合わせて動きを変えることができます。この設定をどうするかが、コンサルタントの腕の見せ所です。

  • 追加開発の仕様決定:SAPの標準機能だけではどうしても対応できない要件については、ABAPエンジニアに「こんな機能を追加してください」と開発の仕様を伝えます。

 

SAPコンサルタント自身がプログラミングをすることは稀ですが、エンジニアと対等に話せるだけの技術的な知識は不可欠です。

4. テスト・トレーニング・導入後サポート:変革を定着させる

システムが完成したら、ユーザーが実際に使いこなし、業務が円滑に回るようになるまでサポートします。

 

  • テスト支援:想定通りにシステムが動くか、ユーザーと共にテストを行います。

  • ユーザートレーニング:新しいシステムの操作方法について、マニュアルを作成したり、研修会を開いたりします。

  • 導入後サポート:本番稼働後に発生した問題の解決や、ユーザーからの問い合わせに対応します。

 

SAPコンサルタントの専門分野(モジュール)

SAPコンサルタントの専門分野(モジュール)

 

SAPは非常に巨大なシステムなので、コンサルタントは特定の業務領域(モジュール)の専門家となります。代表的なモジュールには以下のようなものがあります。

 

  • 会計コンサルタント(FI/CO):財務会計(FI)や管理会計(CO)の領域を担当。企業の経理業務に精通しています。

  • ロジスティクスコンサルタント(SD/MM):販売管理(SD)や在庫購買管理(MM)の領域を担当。モノの流れに詳しい専門家です。

  • 生産コンサルタント(PP):生産計画・管理(PP)の領域を担当。工場の生産プロセスに関する知識が求められます。

  • 人事コンサルタント(HR):人事管理(HR)や給与計算の領域を担当。

  • ベーシスコンサルタント:他のコンサルタントとは少し異なり、SAPシステムのインストールや設定、パフォーマンスチューニングといった技術基盤(ベーシス)を専門とする、技術寄りのコンサルタントです。

 

SAPコンサルタントとSAPエンジニア(ABAPer)の違い

SAPコンサルタントとSAPエンジニア(ABAPer)の違い

 

ここで、よく混同されるSAPエンジニアとの違いを明確にしておきましょう。

 

SAPコンサルタント SAPエンジニア(ABAPer)
役割 「何を」「なぜ」作るかを決める 「どうやって」作るかを実装する
仕事内容 顧客の課題解決、業務分析、要件定義、システム設計、プロジェクト管理 ABAP言語でのプログラミング、追加機能の開発、技術的な問題解決
必要なスキル ビジネス・業務知識、コミュニケーション能力、論理的思考力、マネジメント能力 ABAPの技術力、SAPの技術的な仕様に関する深い知識
例えるなら 企業の変革を導く「経営のお医者さん SAPを改造する「凄腕の職人

 

コンサルタントが描いた「設計図」をもとに、エンジニアが「家を建てる」という関係です。両者は密接に連携しながらプロジェクトを進めていきます。

 

SAPコンサルタントのやりがいと厳しさ

SAPコンサルタントのやりがいと厳しさ

 

華やかに見える仕事ですが、その裏には大きな責任とプレッシャーが伴います。

 

やりがい

  • 経営層との仕事:企業の社長や役員と直接対話し、経営の意思決定に深く関わることができます。

  • 大きな達成感と社会への影響:困難なプロジェクトを成功に導き、企業の成長や変革を目の当たりにしたときの達成感は格別です。

  • 圧倒的な高年収:高い専門性が求められる分、年収水準はIT業界の中でもトップクラスです。スキルと経験次第では、20代で1000万円を超えることも珍しくありません。

 

厳しさ

  • 激務:プロジェクトの佳境では、長時間労働になることも少なくありません。常に複数の課題を抱え、高いプレッシャーの中で成果を出すことが求められます。

  • 絶え間ない学習:SAPの新機能や、担当する業界の最新動向、経営に関する知識など、常に学び続けなければ専門家としての価値を維持できません。

  • 高いコミュニケーション能力:経営層から現場の担当者、エンジニアまで、様々な立場の人と円滑に意思疎通し、時には厳しい意見を伝え、利害を調整する高度なコミュニケーション能力が不可欠です。

 

SAPコンサルタントになるには?

SAPコンサルタントになるには?

 

SAPコンサルタントになるための決まったルートはありませんが、いくつかの代表的なキャリアパスがあります。

 

  1. コンサルティングファームや大手SIerに入社する
    新卒や第二新卒で、アクセンチュアやデロイト、アビームコンサルティングといった総合コンサルティングファームや、NTTデータ、NECのような大手IT企業(SIer)に入社するのが最も王道です。ここで徹底的な研修を受け、コンサルタントとしての基礎を学びます。

  2. 事業会社の情報システム部門から転職する
    メーカーや商社などの事業会社側で、SAPの導入や運用を経験した後、その知識を活かしてコンサルタントに転職するケースです。ユーザーとしての視点を持っていることが強みになります。

  3. SAPエンジニア(ABAPer)からキャリアチェンジする
    技術者としてSAP開発の経験を積んだ後、より上流の要件定義やコンサルティングに関わりたいと考え、キャリアチェンジする道です。技術的な裏付けがあるため、説得力のある提案ができます。

 

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まとめ

Thinking

 

SAPコンサルタントは、単なるITの専門家ではありません。**企業のビジネスを深く理解し、SAPという強力なツールを駆使して、企業の未来を創造する「変革のプロフェッショナル」**です。

その道は決して楽ではありませんが、困難な課題を解決し、企業の成長に直接貢献できるダイナミックなやりがいと、それに見合うだけの高い報酬を得ることができます。

 

論理的に物事を考え、人とコミュニケーションを取るのが好きで、何よりも企業の成長やビジネスそのものに強い興味がある。そんなあなたにとって、SAPコンサルタントは目指すべき価値のある、最高のキャリアの一つと言えるでしょう。

 

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