【初心者向け】ローコードとは?ノーコードとの違いからおすすめツールまで徹底解説

【初心者向け】ローコードとは?ノーコードとの違いからおすすめツールまで徹底解説

【初心者向け】ローコードとは?ノーコードとの違いからおすすめツールまで徹底解説
腕をくんで悩んでいるスーツを着た女性会社員
「開発のスピードを、もっと劇的に上げられないだろうか…」
「定型的なコーディングばかりで、もっと創造的な仕事に時間を使いたい…」
「ノーコードは便利だけど、機能の制約が多すぎて、結局やりたいことが実現できない…」


ソフトウェア開発の現場では、常に「スピード」と「品質」、そして「コスト」という、相反する要求との戦いが繰り広げられています。

 

特に、変化の激しい現代のビジネス環境において、いかに速く、価値あるアプリケーションを市場に投入できるかは、企業の競争力を左右する死活問題です。

 

この課題を解決するための、非常に強力なアプローチ。それが、**「ローコード(Low-Code)」**です。

この記事では、プログラミング初心者の方や、これからのエンジニアの働き方に興味がある方でも、ローコード開発の本質がわかるように、徹底的にわかりやすく解説していきます。

 

  • ローコードの具体的な仕組みと、ノーコードとの決定的な違い

  • なぜ、ローコードが開発現場の「切り札」となるのか?

  • 代表的なローコード開発プラットフォーム

  • ローコード時代に、エンジニアに求められるスキルとは?

 

 

ローコードとは?「カレールー」に例えると一目瞭然

ローコードとは?「カレールー」に例えると一目瞭然

 

まず、ローコードとは、その名の通り**「最小限のコード(Low-Code)で、高品質なアプリケーションを、高速に開発する手法、またはそのためのツール(プラットフォーム)」**のことです。

この概念を、再び夕食の「カレーライス作り」に例えてみましょう。

 

  • 従来のプログラミング(フルスクラッチ開発)

    • やり方:スパイスの調合から始める、完全手作りカレー。

    • 特徴:味の追求は無限大だが、専門知識と膨大な時間が必要。

  • ノーコード開発

    • やり方:**「温めるだけのレトルトカレー」**を使う。

    • 特徴:誰でも、数分で、間違いなく美味しいカレーが食べられる。ただし、オリジナルのカスタマイズは、ほぼ不可能。

 

そして、今回主役のローコード開発は、

 

  • やり方:**「カレールーと、カット済みの野菜セット」**を使う。

  • 特徴

    • 基本的な調理は、箱の裏の手順通り(GUIでのビジュアル開発)に進めれば、誰でも簡単に、素早く作れる。

    • そして、ここが最も重要なポイントですが、**「隠し味に、少しだけチョコレートを足そう」「うちの店だけの、秘伝のスパイスを追加しよう」**といった、**独自のこだわりを実現したい部分だけ、プロの料理人(エンジニア)が、少しだけ調理(コーディング)**を加えることができる。

 

つまり、ローコードとは、**「8割の定型的な部分は、GUIで高速に自動生成し、残りの2割の、ビジネスの核となる複雑な部分だけを、人間(エンジニア)がコードを書く」**という、自動化と手作業の、良いとこ取りをした、ハイブリッドな開発手法なのです。

 

ノーコードとの決定的な違い

この違いは、**「誰が使うか」「どこまでできるか」**に集約されます。

 

ローコード (Low-Code) ノーコード (No-Code)
主な利用者 プロのエンジニア 非エンジニア(ビジネス部門の担当者など)
目的 プロの開発の生産性を最大化する 非エンジニアに開発能力を民主化する
拡張性 高い(コードで、ほぼ何でも実現可能) 低い(プラットフォームの機能に依存)
連携性 高い(API連携などをコードで自由に実装可能) 限定的

 

ノーコードが「非エンジニアに、簡単なアプリを作れるようにする」ためのツールであるのに対し、ローコードは「プロのエンジニアが、より速く、より高度なアプリケーションを作る」ためのツール、という棲み分けになります。

 

ローコードが、開発現場の「切り札」となる3つの理由

ローコードが、開発現場の「切り札」となる3つの理由

 

なぜ、世界中の企業、特に大企業のシステム開発において、ローコードプラットフォームの導入が急速に進んでいるのでしょうか。

 

1. 開発スピードの劇的な向上

最大のメリットです。画面作成(UI)、データモデル設計、基本的な業務ロジックといった、多くのアプリケーションで共通する定型的な部分を、GUIのドラッグ&ドロップで自動生成できるため、開発工数を50%~90%も削減できると言われています。これにより、市場投入までの時間(Time to Market)を、圧倒的に短縮できます。

 

2. 「スピード」と「柔軟性」の両立

ノーコードの「手軽さ・速さ」と、フルスクラッチ開発の「自由度・拡張性」という、本来トレードオフの関係にある2つを、高いレベルで両立できるのが、ローコードの最大の強みです。
プラットフォームが提供する標準機能でカバーできない、企業の競争力の源泉となるような、独自の複雑な要件にも、コードを書くことで柔軟に対応できます。

 

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3. DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の加速

DXを実現するには、企業内に散らばる、古くて複雑なシステム(レガシーシステム)を、モダンなアプリケーションに刷新していく必要があります。しかし、それらをすべてフルスクラッチで開発していては、到底時間が足りません。
ローコードは、この**レガシーシステムの刷新(モダナイゼーション)**を、高速に進めるための、非常に強力なソリューションとなります。

 

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【目的別】代表的なローコード開発プラットフォーム3選

【目的別】代表的なローコード開発プラットフォーム3選

 

ローコードプラットフォームは、特に企業の基幹業務を支える、エンタープライズ領域で多く活用されています。

1. 業務アプリ全般なら:OutSystems

  • 公式サイトOutSystems

  • 特徴ローコード開発プラットフォームの世界的リーダー。ビジュアルな開発環境で、Webアプリケーションからモバイルアプリまで、非常に高速に開発できます。大規模で、ミッションクリティカルな企業の基幹システムの構築にも耐えうる、高いパフォーマンスとセキュリティを誇ります。

  • どんな企業におすすめ?:DXを全社的に推進し、複数の業務システムを、迅速かつ高品質に内製化したいと考えている大企業。

 

2. 顧客管理(CRM)の拡張なら:Salesforce Platform (Apex)

  • 公式サイトSalesforce Platform

  • 特徴:世界No.1のCRM(顧客管理)/SFA(営業支援)ツールであるSalesforceを、自社の業務に合わせて、自由にカスタマイズ・拡張するためのプラットフォームです。基本的な機能はGUIで設定でき、複雑なロジックは**「Apex」**という、Javaに似た独自のプログラミング言語で記述します。

  • どんな企業におすすめ?:すでにSalesforceを導入しており、その機能を最大限に活用して、営業や顧客サポートの業務を、さらに高度化・自動化したい企業。

 

3. Microsoft製品との連携なら:Microsoft Power Platform

  • 公式サイトMicrosoft Power Platform

  • 特徴Excel, Teams, SharePointといった、多くの企業で日常的に使われているMicrosoft製品との連携が、抜群にスムーズなのが最大の強みです。「Power Apps」を使えば、Excelデータを元にした、簡単な業務アプリ(例:備品管理アプリ、日報アプリ)を、驚くほど手軽に作成できます。

  • どんな企業におすすめ?:Microsoft 365を全社的に利用しており、現場の「ちょっとした非効率」を、手軽にデジタル化していきたいと考えている企業。

 

ローコード時代に、エンジニアに求められるスキルとは?

ローコード時代に、エンジニアに求められるスキルとは?

 

「コードを書く量が減るなら、エンジニアの価値も下がるのでは?」

これも、よくある誤解です。実際には、その逆です。

 

ローコード時代において、エンジニアには、これまで以上に、高度で、ビジネスに近いスキルが求められるようになります。

 

  • 「書く」から「創る」へ
    単純なコーディング作業は、プラットフォームが代替してくれます。その代わりに、エンジニアは、

    • ビジネス課題の深い理解:顧客の業務を深く理解し、「本当に解決すべき課題は何か?」を見抜く力。

    • アーキテクチャ設計能力:ローコードで開発する部分と、コードで開発する部分をどう切り分け、システム全体として、いかに拡張性が高く、メンテナンスしやすい構造を設計するか、という高度な設計能力。

    • 最適な技術の選定能力:この課題を解決するには、どのローコードプラットフォームが最適か、あるいは、ここはフルスクラッチで開発すべきか、といった技術選定の能力。
      といった、より上流の、創造的な仕事に、時間と頭を使うようになります。

  • 二極化の進行
    ローコードを使いこなし、ビジネス価値を直接生み出せる**「スーパーエンジニア」と、単純な作業しかできない「オペレーター」**との間で、スキルの二極化が、さらに進んでいくと考えられます。

 

ローコードは、エンジニアの仕事を奪うのではなく、エンジニアを、退屈な単純作業から解放し、より本質的で、付加価値の高い仕事へと「進化させる」ための、強力な触媒なのです。

まとめ

Thinking

 

ローコード開発は、**開発の「民主化」**を進めるノーコードとは異なり、プロの開発の「生産性」を、極限まで高めるための、現実的でパワフルなアプローチです。

GUIによる高速開発と、コードによる無限の柔軟性

 

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この2つを両立させることで、ローコードは、現代のビジネスが求める「スピード」と「品質」という、困難な要求に応えます。

 

プログラミング初心者の方が、いきなりローコードプラットフォームを学ぶ必要はありません。

まずは、PythonやJava、JavaScriptといった、基礎となるプログラミング言語をしっかり学ぶことが、何よりも重要です。

 

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