
「AIとかデータ分析とか、なんだか難しそう…」
「将来性があって、給料も高いって本当?」
今、ビジネスの世界で最も注目され、**「21世紀で最もセクシーな職業」とまで呼ばれる、花形の専門職。それが「データサイエンティスト」**です。
一言でいうと、データサイエンティストとは**「企業が持つ膨大なデータ(ビッグデータ)の海の中から、ビジネスを成長させるための『宝(=価値ある知見)』を掘り出し、未来を予測する、『預言者』」**のことです。
この記事では、ITや統計の知識がない初心者の方でも、データサイエンティストという仕事の魅力と実態がわかるように、わかりやすく解説していきます。
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データサイエンティストの具体的な仕事内容
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よく似た職種(データアナリストなど)との違い
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気になる年収と、その高い将来性
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未経験からデータサイエンティストになるためのロードマップ
データサイエンティストの仕事内容:データから「未来」を創る
データサイエンティストの仕事は、単にデータを眺めてグラフを作るだけではありません。
ビジネスの課題設定から、解決策の実行、そしてその評価まで、非常に広範囲に及びます。
1. ビジネス課題の発見と定義:「解くべき問題」を設定する
すべての始まりは、ビジネスを深く理解することです。
「なぜ、この商品の売上が伸び悩んでいるのだろう?」
「どうすれば、顧客がサービスを解約するのを防げるだろうか?」
「工場の生産効率を、あと10%上げるにはどうすればいい?」
データサイエンティストは、経営者や事業部門の担当者と対話し、彼らが抱える漠然とした課題を、**「データ分析によって解決可能な、具体的な問題」**へと再定義します。例えば、「顧客の解約率を下げる」という課題を、「過去の顧客データから、解約の予兆となる行動パターンを特定し、解約しそうな顧客を予測するモデルを作る」という、分析可能なテーマに落とし込みます。
2. データ収集と前処理:「原石」を集め、磨き上げる
解くべき問題が決まったら、次はその分析に必要なデータを集めます。
Webサイトのアクセスログ、顧客の購買履歴、工場のセンサーデータ、SNSの投稿など、社内外に散らばる様々なデータを収集します。
しかし、集めてきたデータは、そのままでは使えません。多くの場合、データは不完全だったり、形式がバラバラだったり(「東京」と「東京都」が混在しているなど)、ノイズだらけの**「汚れた原石」**です。
データサイエンティストは、この汚れたデータを、
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欠損している値を補完する
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表記の揺れを統一する
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分析しやすいように形式を変換する
といった**「データクレンジング」や「前処理」**と呼ばれる、地道で時間のかかる作業を行います。分析プロジェクトの時間の8割は、この前処理に費やされるとも言われます。この「磨き上げ」の工程が、分析の精度を大きく左右するのです。
3. データ分析とモデル構築:「宝」を発見し、「予測モデル」を創る
磨き上げたデータを使って、いよいよ分析の核心部分に入ります。
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探索的データ分析(EDA):データを様々な角度から可視化(グラフ化)し、「売上が高い顧客には、こんな特徴があるな」「この時間帯に、アクセスが集中する傾向がある」といった、データに隠されたパターンや相関関係を発見します。
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機械学習モデルの構築:発見したパターンをもとに、未来を予測するための「数理モデル(機械学習モデル)」を構築します。
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予測モデル:「この顧客は、来月解約する確率が85%です」と予測する。
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分類モデル:画像に写っている動物が「犬」なのか「猫」なのかを分類する。
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レコメンデーションモデル:「この商品を買ったあなたには、こちらの商品もおすすめです」と推薦する。
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4. レポーティングと施策提案:「分析結果」を「行動」に変える
分析結果や予測モデルは、それだけではただの数字や数式にすぎません。データサイエンティストの最後の、そして重要な仕事は、分析から得られた知見を、ビジネスの言葉に翻訳し、次にとるべき具体的なアクション(施策)として提案することです。
「分析の結果、3ヶ月以上ログインしていない30代の男性ユーザーが、最も解約しやすいことがわかりました。そこで、この層にターゲットを絞った、限定クーポンを配布するキャンペーンを実施しませんか?」
このように、専門知識がない人にも分かりやすく、説得力のあるストーリーとして伝え、実際のビジネスを動かしていく。
データサイエンティストとよく似た職種との違いは?
データサイエンティストとよく混同される職種に、「データアナリスト」と「AIエンジニア」があります。
データサイエンティスト | データアナリスト | AIエンジニア | |
役割 | ビジネス課題解決の戦略家 | データの可視化とレポーティングの専門家 | AIモデルをシステムに実装する専門家 |
主戦場 | ビジネス課題の発見~施策提案まで | データ分析~レポーティング | モデル構築~システムへの組み込み |
視点 | 未来(予測、最適化) | 過去~現在(何が起きたか、なぜ起きたか) | 技術(どうやって動かすか) |
スキル | ビジネス力、IT力、統計力のすべて | 統計・分析力、ビジネス理解 | IT・実装力、機械学習知識 |
データサイエンティストの年収と将来性
年収
データサイエンティストは、高度な専門性が求められるため、IT職種の中でもトップクラスの年収水準を誇ります。
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ジュニアレベル:年収 500万円~700万円
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ミドル/シニアレベル:年収 700万円~1200万円以上
外資系企業や、トップクラスの実績を持つデータサイエンティストであれば、1500万円、2000万円を超えることも珍しくありません。
将来性
極めて高い、と言い切って良いでしょう。
未経験からデータサイエンティストになるには?
データサイエンティストになるには、**「ビジネス力」「データサイエンス力(統計学・機械学習)」「データエンジニアリング力(IT・プログラミング)」**という、3つの異なる分野のスキルが求められます。未経験からこれらすべてを一度に習得するのは非常に困難です。
そのため、まずは自分の得意分野を軸に、いずれかの専門職としてキャリアをスタートし、徐々にスキルを広げていくのが現実的なロードマップです。
Step 1:土台となる専門スキルを身につける
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プログラミング:まずはPythonを徹底的に学びましょう。データ分析ライブラリ(Pandas, NumPy)や、機械学習ライブラリ(scikit-learn)を使いこなせるようになるのが目標です。また、データベースからデータを抽出するためのSQLも必須スキルです。
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統計学・数学:大学教養レベルの線形代数、微分積分、確率統計の知識は、機械学習のアルゴリズムを理解する上で不可欠です。
Step 2:いずれかの専門職として実務経験を積む
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ITエンジニア出身:Webエンジニアやデータエンジニアとして、データ基盤の構築や、データ処理の経験を積む。
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データアナリスト出身:事業会社の企画部門などで、データ分析やレポーティングの実務経験を積む。
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研究職出身:大学院などで、統計学や機械学習の研究経験を積む。
Step 3:ポートフォリオを作成し、データサイエンティストへ
実務と並行して、Kaggle(データ分析コンペティションサイト)に挑戦したり、自分でテーマを見つけてデータ分析を行い、その結果をブログやGitHubで公開したりして、スキルを証明するポートフォリオを作成します。これを武器に、データサイエンティストとしての就職・転職を目指します。
「もっと上流工程に携わりたい」 「モダンな技術環境で開発したい」 「年収を大幅にアップさせたい」 向上心のあるSE(システムエンジニア)の方なら、一度はキャリアアップのための転職を考えたことがあるのではないでしょうか。 […]
まとめ
データサイエンティストは、単なるデータ分析官ではありません。ビジネスへの深い理解と、データサイエンスの専門知識、そしてITスキルを兼ね備え、データという羅針盤を手に、企業の未来を切り拓く、冒険家であり戦略家です。
その道は決して平坦ではありませんが、数字の裏に隠された真実を発見する知的な興奮と、自分の分析がビジネスを動かすダイナミックなやりがいに満ちています。
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