【初心者向け】SIerとSE系のIT企業って何が違うの?わかりやすく解説!

【初心者向け】SIerとSE系のIT企業って何が違うの?わかりやすく解説!

【初心者向け】SIerとSE系のIT企業って何が違うの?わかりやすく解説!
心配している人
「IT業界に興味があるけど、カタカナやアルファベットの専門用語が多くてよくわからない…」
「就職活動でよく聞く『SIer』って何?『SE』とは違うの?」

IT業界への第一歩を踏み出そうとしているあなたも、こんな疑問を感じたことがあるかもしれません。

特に「SIer(エスアイヤー)」と「SE(エスイー)」は、セットで語られることも多く、違いが曖昧になりがちな言葉です。

 

この記事では、IT業界未経験の方や就活生に向けて、「SIer」と、SEが活躍する他のIT企業(特にWeb系企業)との違いを、具体例を交えながら徹底的に解説します。

 

1. まずは言葉の定義から!「SIer」と「SE」は親子のような関係

1. まずは言葉の定義から!「SIer」と「SE」は親子のような関係

 

違いを理解する前に、まずは基本となる2つの言葉の意味を整理しましょう。

SIerは**「System Integrator(システムインテグレーター)」の略で、「会社の種類」**を指す言葉です。

 

その役割をひと言で言うと、**「顧客の課題をITで解決する何でも屋さん」**です。顧客となるのは、銀行、保険会社、製造業、官公庁といった大企業や組織が中心です。

 

彼らの「売上を管理するシステムが欲しい」「全国の在庫をリアルタイムで把握したい」「役所の手続きをオンライン化したい」といった様々な要望(課題)を聞き出し、それを解決するための最適な情報システムを、企画・設計・開発・導入、そしてその後の運用・保守まで一貫して請け負います。

 

例えるなら、**「IT業界のゼネコン」**です。家を建てる時、施主の要望を聞いて設計図を描き、大工さんや電気屋さん、水道屋さんなど多くの専門家をまとめて一つの家を完成させるのがゼネコンの仕事です。SIerも同様に、様々なハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク技術を組み合わせて(=インテグレートして)、顧客のための一つの大きなシステムを構築するのです。

 

SEは**「System Engineer(システムエンジニア)」の略で、こちらは「職種の名前」**です。

SEは、顧客の要望をヒアリングしてシステムの仕様を決める「要件定義」や、システムの骨格を作る「設計」、そして実際にプログラミングを行うプログラマーへの指示や進捗管理など、システム開発プロジェクトの中核を担う技術者のことを指します。

 

つまり、SIerという「会社」の中に、SEという「職種」の人が働いている、という関係性です。SIerとSEは、会社と社員、あるいはチームと選手のような関係だと考えると分かりやすいでしょう。

 

2. 本題:「SIer」と「SEが活躍する他のIT企業」の違い

2. 本題:「SIer」と「SEが活躍する他のIT企業」の違い

 

さて、ここからが本題です。SEはSIerだけでなく、様々なIT企業で活躍しています。

ユーザーが「SE系のIT企業」という言葉でイメージするのは、おそらくSIerとは異なるタイプの、例えば**「Web系企業」「自社サービス開発企業」**などでしょう。

 

ここでは、代表例として「SIer」と「Web系企業」を比較しながら、その違いを5つの軸で見ていきましょう。

 

顧客(クライアント)

SIer:特定の企業や官公庁(BtoB = Business to Business)

SIerの顧客は、特定の「法人」です。金融機関の勘定系システムや、メーカーの生産管理システム、官公庁の住民情報システムなど、社会や企業の根幹を支える「裏方のシステム」を作ることが多いのが特徴です。

顧客の業務に深く入り込み、その課題を解決することがミッションとなります。

 

Web系企業:不特定多数の一般消費者(BtoC = Business to Consumer)

一方、Web系企業の多くは、私たち一般ユーザーが日常的に使うサービスを提供しています。

検索エンジン、SNS、ECサイト、スマホアプリなどがその代表です。より多くの人に使ってもらい、サービスを成長させることがミッションです。

 

作るもの

SIer:顧客のためのオーダーメイドシステム

SIerが作るシステムは、基本的に顧客一社のためだけに作られる「オーダーメイド品」です。

 

まるでオーダーメイドスーツを仕立てるように、顧客の業務内容や要望に合わせて、一つひとつ丁寧にシステムを構築していきます。

そのため、プロジェクトの規模は数億円から数百億円、期間も数年にわたることがあります。

 

Web系企業:自分たちのアイデアで作る自社サービス

Web系企業は、自分たちのアイデアや市場のニーズをもとに「自社製品・自社サービス」を開発します。

 

世の中に「こんなサービスがあったら便利じゃないか?」という発想からスタートし、それを形にして提供します。

一度作ったサービスは、常にユーザーの声を聞きながら改善を重ねていきます。

 

開発スタイル

SIer:計画重視の「ウォーターフォール開発」

大規模で失敗が許されないシステムを扱うSIerでは、「ウォーターフォール(滝)」と呼ばれる開発手法が主流です。

これは「①要件定義 → ②設計 → ③開発 → ④テスト」という工程を、滝の水が上から下に流れるように、後戻りせず順番に進めていく手法です。

最初に全体の計画を綿密に立て、その通りに進める管理能力が重要になります。

 

Web系企業:スピード重視の「アジャイル開発」

市場の変化が速いWeb業界では、「アジャイル(俊敏な)」と呼ばれる開発手法が好まれます。

「計画→設計→開発→テスト」というサイクルを、1〜2週間といった短い期間で何度も繰り返し、少しずつサービスを良くしていきます。

急な仕様変更にも柔軟に対応でき、スピード感を持って開発を進められるのが特徴です。

 

求められること

SIerのSE:マネジメント能力と業務知識

SIerのSEには、プログラミングスキルはもちろんのこと、顧客の業務内容を深く理解する力、多くの関係者(顧客、パートナー企業の技術者など)と円滑にやりとりするコミュニケーション能力、そしてプロジェクト全体を管理するマネジメント能力が強く求められます。

技術的には、枯れた(安定した)技術を堅実に使うことが多い傾向があります。

 

Web系企業のSE:最新技術への探求心と専門性

Web系企業のエンジニアには、特定のプログラミング言語やフレームワークに対する深い知識や、新しい技術を自ら学んでサービスに取り入れていく探求心が求められます。

サービスの価値を直接高める「技術力」そのものが非常に重視される世界です。

 

魅力

SIer:安定志向でフォーマル

顧客が大企業であるため、ビジネスマナーや服装(スーツ着用など)も比較的フォーマルな場合が多いです。

大規模な組織で、階層構造がはっきりしている傾向があります。社会インフラを支えるという使命感のもと、安定した環境でじっくり働きたい人に向いています。

 

Web系企業:自由でフラットな文化

私服勤務が基本で、フレックスタイム制を導入している企業も多く、自由でフラットな雰囲気の職場が多いのが特徴です。

エンジニアが主役の文化が根付いており、実力主義・成果主義の傾向が強いです。

 

 

まとめ:あなたはどちらのタイプ?

まとめ:あなたはどちらのタイプ?

項目 SIer Web系企業
顧客 特定の企業・官公庁 (BtoB) 不特定多数の一般消費者 (BtoC)
作るもの オーダーメイドの業務システム 自社開発のWebサービス・アプリ
ビジネス 受託開発(システムを納品して対価を得る) サービス運営(広告収入、利用料など)
開発手法 ウォーターフォール型が多い アジャイル型が多い
求められること 顧客業務の理解、安定性、管理能力 最新技術への追随、スピード、創造性
働く魅力 社会インフラを支える大規模案件に携われる 自分のサービスが世の中に広がる実感

 

このように、同じ「SE」が活躍する会社でも、SIerとWeb系企業では全く性質が異なります。どちらが良い・悪いという話ではなく、あなたが何を重視し、どんな働き方をしたいかによって、どちらが向いているかが変わってきます。

 

  • こんなあなたはSIer向きかも?

    • 社会を支える大きな仕事がしたい

    • 顧客と深く関わり、課題解決に貢献したい

    • 将来的にマネジメントスキルを身につけたい

    • 安定した環境でキャリアを築きたい

  • こんなあなたはWeb系企業向きかも?

    • とにかくプログラミングが好きで、最新技術に触れていたい

    • 自分のアイデアや技術でサービスを成長させたい

    • スピード感のある環境で働きたい

    • 自由でフラットな組織文化に惹かれる

 

IT業界は非常に広く、ここで紹介した以外にも、特定の製品を作る「ソフトウェアベンダー」や、IT戦略の相談に乗る「ITコンサル」など、多様な企業が存在します。

今回の記事をきっかけに、ぜひ色々な企業を調べてみてください。そして、インターンシップや説明会で実際に働いている人の話を聞き、あなたにぴったりのキャリアを見つけていただければ幸いです。

 

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