
システムエンジニア(SE)って、なんだかカッコいいな
キャリアを考える上で、「自分はこの仕事に向いているんだろうか?」という疑問は、誰しもが抱く自然なものです。
「SEって、一日中パソコンに向かって黙々とプログラムを組んでいる人でしょ?」「理系じゃないと無理?」「コミュニケーションは苦手でも大丈夫?」
世の中には、SEに対する様々なイメージがあります。しかし、その多くは一部分を切り取ったものに過ぎません。
この記事では、これからSEを目指すあなたが、自分自身の適性を判断するためのヒントを、できるだけ分かりやすく、具体的に解説していきます。
SEに向いている人の5つの特徴
まずは、「こういう人はSEに向いている!」と言われる人の特徴を5つご紹介します。「全部当てはまらないとダメ」なんてことはないので、自分はどのタイプに近いか、チェックするつもりで読んでみてください。
1. 物事を順序立てて考えるのが好き(論理的思考力)
SEの仕事の根幹をなすのが、この論理的思考力です。簡単に言えば、「物事を分解し、筋道を立てて考える力」のこと。
-
なぜ必要?
システム開発は、「お客様の『こんなことがしたい』という要望を、どうすればコンピュータで実現できるか」を考える仕事です。そのために、「まずAをして、次にBをして、もしCという状況になったらDをする」というように、処理の順番や条件を正確に組み立てる必要があります。また、システムにエラーが発生した際、「何が原因で、どうすれば直るのか」を突き止めるトラブルシューティングでも、この力は不可欠です。 -
あなたは当てはまる?
-
料理をレシピ通りに作るのが得意
-
プラモデルや家具を説明書を見ながら組み立てるのが好き
-
数学の証明問題や、パズル・謎解きゲームが好き
-
人に何かを説明するとき、「まず結論から言うと…理由は3つあって…」と順序立てて話す癖がある
-
もし一つでも当てはまれば、あなたにはSEの素質が十分にあります。
2. 人の話を「聞く」のが得意(コミュニケーション能力)
「え、SEってコミュニケーション能力が必要なの?」と驚く人も多いかもしれません。実は、これこそが多くの人が抱くSEのイメージとの最大のギャップです。特に重要なのが、**「聞く力」と「伝える力」**です。
-
なぜ必要?
SEは、お客様が本当に解決したい課題や要望を、会話の中から正確に引き出す必要があります。お客様はITの専門家ではないことがほとんどなので、「なんとなく、こうなったら便利なんだけど…」といった曖昧な表現をすることも少なくありません。その言葉の裏にある本質的なニーズを汲み取る「聞く力」が、プロジェクトの成功を左右します。
また、難しい技術的な内容を、お客様やチームのメンバーに分かりやすく説明する「伝える力」も同様に重要です。 -
あなたは当てはまる?
-
友達からよく相談事をされる
-
相手が何を言いたいのか、じっくり考えてから話すタイプだ
-
おしゃべり上手というよりは、聞き上手だと言われる
-
難しい話を、身近な例に置き換えて説明するのが得意
-
「面白い話ができる」といった社交性だけがコミュニケーション能力ではありません。相手を尊重し、丁寧に意図を汲み取れる力こそ、SEに求められるスキルなのです。
3. 新しいことを知るのが好き(知的好奇心と学習意欲)
IT業界は、まさに日進月歩。技術の進化が非常に速い世界です。昨日まで最新だった技術が、あっという間に古くなることも珍しくありません。
-
なぜ必要?
常に新しいプログラミング言語、フレームワーク、クラウドサービスなどが登場します。そのため、SEは社会人になっても、いえ、プロである限りずっと学び続ける必要があります。「勉強は学生時代で終わり」と考えていると、あっという間に時代に取り残されてしまいます。 -
あなたは当てはまる?
-
新しいスマートフォンやガジェットが出ると、ついスペックを調べてしまう
-
知らない言葉が出てきたら、すぐにスマホで検索する癖がある
-
新しいゲームの攻略法を調べたり、自分で試したりするのが好き
-
勉強すること自体に、それほど苦痛を感じない
-
「知らないことを知るのが楽しい」「新しいスキルを身につけることにワクワクする」という人は、変化の激しいIT業界を楽しみながら生き抜いていけるでしょう。
4. 諦めずに粘り強く取り組める(忍耐力・精神的タフさ)
華やかに見えるシステム開発の裏側には、非常に地道で、根気のいる作業がたくさんあります。
-
なぜ必要?
プログラムを書けば、必ずと言っていいほどエラーやバグ(不具合)に遭遇します。「たった1文字の入力ミス」が原因で、システム全体が動かなくなることも。原因がすぐに見つからず、何時間も、時には何日も画面とにらめっこすることもあります。そんな時、「もう嫌だ!」と投げ出すのではなく、「絶対に原因を見つけてやる」と粘り強く試行錯誤を続けられる精神的なタフさが求められます。 -
あなたは当てはまる?
-
解けない問題があると、時間を忘れて没頭してしまう
-
一度始めたことは、最後までやり遂げないと気が済まない
-
失敗しても、「じゃあ次はこうしてみよう」とすぐに切り替えられる
-
地道な作業(間違い探しやデータ入力など)をコツコツ続けるのが苦ではない
-
この粘り強さが、最終的に「動いた!」という大きな達成感と、お客様からの「ありがとう」につながるのです。
5. みんなで何かを成し遂げるのが好き(協調性)
巨大なシステムや複雑なアプリケーションを、たった一人の力で作り上げることはほぼ不可能です。SEの仕事は、基本的にチームプレーです。
-
なぜ必要?
一つのプロジェクトには、プロジェクトの全体を管理する人(プロジェクトマネージャー)、設計をする人、プログラムを作る人、テストをする人など、様々な役割のメンバーが関わります。それぞれのメンバーと円滑に情報を共有し、お互いの進捗を気遣い、時には助け合いながら、全員で同じゴールを目指す必要があります。 -
あなたは当てはまる?
-
文化祭や体育祭など、クラスやチームで協力して準備するのが楽しかった
-
部活動やサークル活動で、仲間と目標を達成した経験がある
-
自分一人で功績を独り占めするより、みんなで喜びを分かち合いたい
-
人の意見を聞き、自分の意見も伝えながら、より良い結論を出す議論が好き
-
個人のスキルも大切ですが、チーム全体の力を最大限に引き出す協調性を持つ人は、SEとして大きなプロジェクトで活躍できるでしょう。
「SEに向いていないかも…」と感じる人の特徴と乗り越え方
ここまで読んで、「自分には当てはまらないかも…」と不安になった人もいるかもしれません。
でも、安心してください。ここで挙げる特徴は、「絶対にSEになれない」というものではなく、「少し工夫が必要かもしれない」というサインです。
1. 人と関わるのが極端に苦手な人
前述の通り、SEはコミュニケーションが必須の仕事です。そのため、お客様やチームメンバーとの対話を完全に避けて仕事をすることは難しいでしょう。
→こう乗り越える!
「最低限のビジネスマナーとしての報告・連絡・相談ができればOK」と考えてみましょう。無理に雑談をしたり、飲み会に参加したりする必要はありません。また、SEの中でも顧客折衝が少ないプログラマー寄りの職種や、社内SEなど、働き方は様々です。自分の特性に合った職場や職種を選ぶことで、過度なストレスなく働けます。
2. 地道で細かい作業がとにかく嫌いな人
設計書のレビュー、コードの一行一行のチェック、テストケースの消化など、SEの仕事には丁寧さと正確さが求められる地味な作業が数多くあります。
→こう乗り越える!
「自分は雑な性格だから…」と諦める必要はありません。チェックリストを作って確認漏れを防ぐ、ツールを使って自動化するなど、「仕組み」でカバーする工夫ができます。最初は苦手でも、仕事として責任感を持って取り組むうちに、丁寧な作業の重要性が理解でき、自然と身についていくことも多いです。
3. 変化を好まず、安定志向が強すぎる人
IT業界の技術トレンドは常に変化し続けます。一度覚えた知識だけで、何年も同じように働き続けることは困難です。
→こう乗り越える!
世の中の全ての技術を追いかける必要はありません。自分が担当する分野や、興味のある分野に絞ってアンテナを張るだけでも十分です。
また、金融機関の勘定系システムや、大企業の基幹システムなど、比較的技術の変化が緩やかで、安定性が重視される領域もあります。そうした分野で専門性を高めるというキャリアパスも考えられます。
まとめ:最も大切なのは「やってみたい」という気持ち
ここまでSEに向いている人、向いていないかもしれない人の特徴を見てきました。
しかし、忘れないでください。これらはあくまで一般的な傾向であり、あなたの可能性を限定するものでは決してありません。
弱みは、見方を変えれば強みになります。「考えすぎる」は「慎重で丁寧」、「こだわりが強い」は「品質への追求心がある」と言い換えることができます。
そして何よりも大切なのは、「SEという仕事に興味がある」「ITの力で何かを成し遂げてみたい」という、あなたの熱意です。その気持ちがあれば、苦手なことも乗り越えられますし、必要なスキルは入社してからいくらでも学ぶことができます。
もし少しでも「挑戦してみたい」と思ったら、まずはプログラミング学習サイトに触れてみたり、IT企業のインターンシップに参加してみたり、小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。