
「プログラミングで、誰かの『面倒くさい』を解決したい」
システムエンジニア(SE)として日々高度な開発に携わる中で、そんな風に感じたことはありませんか?
あなたの持つ論理的思考力やプログラミングスキルは、大規模なシステム開発だけでなく、もっと身近な「業務の非効率」を解決するための強力な武器になります。
そして今、その武器を最大限に活かせる副業として、**「RPA・GASによる業務効率化ツール開発」**が大きな注目を集めています。
この記事では、「RPAって何?」「GASってスプレッドシートのマクロでしょ?」といった疑問を解消し、なぜこの分野がSEの副業として最高なのか、具体的にどんなツールを作ってどう稼ぐのかを、実践的な事例を交えながら徹底的に解説します。
第1章:RPAとは?~24時間働く「デジタル従業員」を開発する仕事~
まず、RPA(Robotic Process Automation)から見ていきましょう。
これを一言で表すなら、**「PC上で行う単純な定型作業を、あなたの代わりに実行してくれるソフトウェアロボット」**のことです。
イメージとしては、24時間365日、文句も言わず、ミスもせず、驚異的なスピードで働き続ける「デジタルな従業員(デジタルレイバー)」を雇うようなものです。
このデジタルレイバーを開発し、クライアントに提供するのがRPA開発の仕事です。
RPAが得意とする「退屈な作業」の具体例
このデジタルレイバーは、人間が「面倒だな」「時間がもったいないな」と感じる、ルールが決まった繰り返し作業を驚くほど正確にこなします。
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データ入力・転記: Webサイトの問い合わせフォームの内容を、顧客管理システム(CRM)やExcelに転記する。
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情報収集: 複数の競合サイトを巡回し、商品価格や在庫情報を収集して一覧表にまとめる。
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帳票作成: 販売管理システムから売上データを抽出し、決められたフォーマットの請求書や売上報告書を自動で作成する。
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システム間のデータ連携: 古い社内システムからデータをCSVでダウンロードし、新しいクラウドサービスにアップロードする。
これらの作業は、一つひとつは難しくありません。しかし、毎日・毎週繰り返すことで、膨大な時間と人件費を浪費しています。
人手不足に悩む中小企業にとって、この「見えないコスト」は死活問題。だからこそ、RPAによる自動化に高い価値が生まれるのです。
なぜSEがRPA開発で活躍できるのか?
RPAツールの多くは、「UiPath」「WinActor」「Power Automate for desktop」など、GUI操作で直感的にロボットを開発できるのが特徴です。しかし、本当に安定して動く、価値の高いロボットを作るには、SEのスキルが不可欠です。
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論理的思考力: 処理の順序、条件分岐(If)、繰り返し(For)といったプログラミングの基本構造を、エラーなく効率的に組み立てる能力がそのまま活かせます。
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エラーハンドリング: 「もしログインに失敗したら」「もし該当のファイルがなかったら」といった予期せぬ事態を想定し、ロボットが停止しないように例外処理を組み込む設計力は、まさにSEの得意分野です。
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API連携の知識: GUI操作だけでなく、APIを叩いてシステム間のデータを直接やり取りするような、より高度で高速な自動化を実現できます。
第2章:GASとは?~Googleサービスを自在に操る「魔法の呪文」~
次に、GAS(Google Apps Script)です。これは、**「Googleの各種サービスを連携・自動化するためのプログラミング言語」**です。
最大の特徴は、JavaScriptをベースにしているためWeb系のSEにとっては学習コストが非常に低く、サーバーも開発環境も不要で、Googleアカウントとブラウザさえあれば今すぐにでも始められる手軽さにあります。
GASで実現する「神ツール」の具体例
GASを使えば、多くの企業が利用するGoogle Workspace(旧G Suite)上で、まるで魔法のような自動化が実現できます。
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事例1:問い合わせ対応の完全自動化
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課題: Googleフォームからの問い合わせ内容を、担当者が手動でスプレッドシートにコピペし、手動で申込者に受付完了メールを送っている。
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GASで解決: フォームが送信された瞬間をトリガーに、①回答内容を顧客リスト用スプレッドシートに自動で追記し、②申込者の名前を差し込んだ受付完了メールをGmailから自動送信するスクリプトを開発。担当者は何もしなくても対応が完了します。
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事例2:請求書発行プロセスの自動化
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課題: 毎月末、スプレッドシートの案件リストを見ながら、一件ずつ手作業でGoogleドキュメントの請求書テンプレートに金額や宛名を打ち込んでいる。
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GASで解決: スプレッドシートに「請求書発行」ボタンを設置。ボタンを押すと、リストにある今月分の案件情報を元に、Googleドキュメントで請求書を自動生成。さらにPDF化してGoogleドライブの指定フォルダに保存し、Slackで経理担当者に通知する、という一連の流れを自動化。
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事例3:複数店舗の売上日報を自動集計
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課題: 各店舗の店長が、毎日バラバラのフォーマットでGmailやチャットで送ってくる日報を、本部のマネージャーが手作業で集計している。
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GASで解決: 全店共通のGoogleフォームで日報を提出するルールに変更。GASを使い、毎日深夜にその日の全店舗の回答を自動で集計し、グラフ付きのサマリーレポートをスプレッドシート上に生成。翌朝、マネージャーは完成したレポートを見るだけでOK。
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第3章:【実践編】副業として「業務効率化」で稼ぐための3ステップ
では、実際にこのスキルでどうやって副業収入を得るのでしょうか。
Step 1:自分のためのツール開発で「実績0」を脱出する
いきなり案件を探す前に、まずは自分自身や本業のチームが抱える「面倒な作業」をRPAやGASで自動化してみましょう。
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「毎朝の勤怠打刻を自動化するRPAロボット」
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「交通費精算用のExcelシートを自動作成するGASスクリプト」
Step 2:クラウドソーシングで小さな成功体験を積む
ポートフォリオができたら、いよいよ案件獲得です。まずは「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったサイトで、「RPA」「GAS」「業務効率化」「スプレッドシート 自動化」といったキーワードで検索してみましょう。
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「ECサイトの受注データをスプレッドシートに毎日転記してほしい(RPA)」
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「フォームの回答をGmailで通知してほしい(GAS)」
最初は3万円~5万円程度の小規模な案件からで構いません。ここで重要なのは、クライアントの課題を徹底的にヒアリングすることです。
相手は非エンジニアであることがほとんど。「どんな作業に、どれくらい時間がかかっていますか?」「最終的に、どうなれば一番嬉しいですか?」と丁寧に聞き出し、期待を超える成果物を納品することで、高評価と次の依頼に繋がります。
Step 3:コンサルティングで価値を最大化する
実績をいくつか積んだら、次のステージに進みましょう。それは、単なる「開発者」ではなく、「業務効率化コンサルタント」として価値を提供することです。
クライアントは、自分が何に困っているか言語化できていないケースも多々あります。そこであなたが、「ヒアリングした業務フローなら、GASでここまで自動化できますよ」「この単純作業はRPAに任せれば、社員の方はもっと創造的な仕事に時間を使えます」と、解決策を提案するのです。
「本業の給料だけでは、将来が少し不安…」「自分の技術、会社の外で通用するんだろうか?」「新しいスキルを身につけたいけど、学ぶだけじゃなく実践で使ってみたい」 もしあなたがシステムエンジニア(SE)として、このような思いを少しで[…]
まとめ:あなたのスキルは、誰かの「ありがとう」に直結する
RPA・GASによる業務効率化ツール開発は、単にお金を稼ぐための副業ではありません。
それは、あなたの持つ論理的思考力と課題解決能力を、人手不足や長時間労働に悩む人々のために直接的に役立てる、非常に社会的意義の大きい仕事です。
「〇〇さんのおかげで、毎日の単純作業から解放されました!」
「ツールのおかげで残業が減り、家族と過ごす時間が増えました!」
クライアントから寄せられる、こうした生々しい感謝の声は、大規模システム開発ではなかなか味わえない、特別なやりがいと喜びをもたらしてくれるはずです。
あなたのそのスキルは、あなたが思っている以上に、多くの人を助ける力を持っています。
「今の収入にプラスαが欲しい…」「会社の評価だけでなく、自分の市場価値も高めたい」「新しい技術に触れる機会がなくて、スキルが古くならないか不安…」 もしあなたがシステムエンジニア(SE)で、このように感じているなら、「副業」は[…]