
「PostgreSQLをインストールしたいけど、手順がよくわからない!」
「MySQLとは、何が違うの?」
プログラミングでWebアプリケーション開発を学ぶ上で、MySQLと並んで、非常に人気の高いオープンソースのデータベース。
それが**「PostgreSQL(ポストグレスキューエル、通称:Postgres/ポストグレス)」**です。
PostgreSQLは、
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オープンソースで無料:個人学習から大規模な商用システムまで、無料で利用できる。
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高機能で堅牢:複雑なデータ構造や、大規模なデータ処理に強く、データの堅牢性(壊れにくさ)に定評がある。
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標準SQLへの準拠度が高い:標準的なSQLの文法に忠実で、一度覚えれば他のデータベースにも応用しやすい。
といった特徴から、特にRuby on RailsやDjangoといったWebフレームワークを使った開発で、推奨データベースとして採用されることが多い、非常に重要な存在です。
この記事では、プログラミング知識ゼロの初心者の方でも、つまずくことなく、自分のパソコンにPostgreSQLの開発環境を構築できるように、全手順をわかりやすくスクリーンショットのイメージを交えながら、徹底的に解説していきます。
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Windows編:公式インストーラーを使った簡単インストール
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Mac編:Homebrewを使った簡単インストール
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GUIツール「pgAdmin」の使い方と動作確認
【Windows編】公式インストーラーを使った簡単インストール
WindowsへのPostgreSQLインストールは、必要なツール一式をまとめてインストールしてくれる公式のインストーラーを使うのが、最も簡単で確実です。
Step 1: インストーラーのダウンロード
1.公式サイトにアクセス
PostgreSQLの公式サイトのダウンロードページにアクセスします。
2.OSを選択
Windowsのアイコンをクリックします。
3.インストーラーのダウンロードページへ
「Interactive Installer by EDB」のセクションにある**「Download the installer」**というリンクをクリックします。
4.バージョンとOSを選択してダウンロード
最新版のPostgreSQL(記事執筆時点では16など)と、お使いのWindowsのバージョン(Windows x86-64)を選択し、「DOWNLOAD NOW」ボタンをクリックします。ダウンロードには少し時間がかかります。
Step 2: インストーラーの実行と設定
1.インストーラーを起動
ダウンロードした.exeファイルをダブルクリックして、インストーラーを起動します。「Next」をクリックして進みます。
2.インストール先の指定
「Installation Directory」では、インストール先のフォルダを指定します。基本的にはデフォルトのままで「Next」をクリックします。
3.コンポーネントの選択
「Select Components」画面では、インストールするツールを選択します。
- PostgreSQL Server:データベース本体(必須)
- pgAdmin 4:データベースをGUI(グラフィカルな画面)で操作できる超便利ツール(必須)
- Stack Builder:追加ツールをインストールするためのもの(チェックを外してもOK)
- Command Line Tools:コマンドで操作するためのツール(必須)
初心者は、すべてにチェックが入った状態で「Next」をクリックするのがおすすめです。
4.データディレクトリの指定
「Data Directory」では、データベースのデータを保存するフォルダを指定します。こちらもデフォルトのままで「Next」をクリックします。
5.スーパーユーザーのパスワード設定(最重要!)
「Password」画面で、PostgreSQLの最高管理者(スーパーユーザー、デフォルト名はpostgres)のパスワードを設定します。
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忘れない、かつ、推測されにくいパスワードを入力してください。
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このパスワードは、後で何度も使います。必ずメモしておいてください。
6.ポート番号の指定
「Port」画面では、PostgreSQLが通信に使うポート番号を指定します。特別な理由がなければ、デフォルトの「5432」のまま「Next」をクリックします。
7.ロケールの指定
「Advanced Options」画面では、言語設定(ロケール)を指定します。デフォルトの「Default locale」のままで「Next」をクリックします。
8.インストール内容の確認と実行
「Pre Installation Summary」画面で、これまでの設定内容を確認し、「Next」をクリックします。
「Ready to Install」画面で、「Next」をクリックすると、インストールが開始されます。完了まで数分かかります。
9.インストール完了
「Completing the PostgreSQL Setup Wizard」画面が表示されれば、インストールは完了です。「Stack Builder」を起動するか聞かれますが、チェックを外して「Finish」をクリックしてOKです。
【Mac編】Homebrewを使った簡単インストール
MacへのPostgreSQLインストールは、macOS用のパッケージ管理ツールである**「Homebrew(ホームブリュー)」**を使うのが、最も簡単で、後の管理も楽になります。
Step 1: Homebrewのインストール(未導入の場合)
まず、Homebrewがインストールされているかを確認します。
「ターミナル」アプリを起動し、以下のコマンドを入力してください。
Generated bash
brew -v
「command not found」と表示された場合は、Homebrewの公式サイトにアクセスし、トップページに表示されているインストールコマンドをターミナルに貼り付けて実行してください。
Step 2: HomebrewでPostgreSQLをインストール
Homebrewの準備ができたら、PostgreSQLのインストールはコマンド一行で完了します。
ターミナルで、以下のコマンドを実行してください。
Generated bash
brew install postgresql
Step 3: PostgreSQLの初期設定と起動
1.データベースの初期化
インストール後、初回のみデータベースクラスタ(データを格納する領域)の初期化が必要です。
ターミナルに表示される指示に従うか、以下のコマンドを実行します。(バージョン16の部分は、インストールしたものに合わせてください)
Generated bash
initdb /opt/homebrew/var/postgresql@16
2.PostgreSQLサーバーの起動
以下のコマンドで、PostgreSQLサーバーを起動します。(PCを再起動しても自動で起動するようになります)
Generated bash
brew services start postgresql
「Successfully started postgresql」と表示されればOKです。
2.スーパーユーザーのパスワード設定
インストール直後は、スーパーユーザー(postgres)にパスワードが設定されていません。セキュリティのために設定しておきましょう。
- まず、以下のコマンドでPostgreSQLに接続します。
Generated bash
psql postgres
- postgres=#というプロンプトが表示されたら、以下のコマンドでパスワードを設定します。‘your_password’の部分を、実際に設定したいパスワードに置き換えてください。
Generated sql
\password postgres
新しいパスワードを2回入力すると、設定が完了します。\qと入力して、一旦psqlを終了します。
【共通】GUIツール「pgAdmin」での動作確認
コマンドライン(黒い画面)での操作も重要ですが、初心者はまず、GUI(グラフィカルな画面)ツールを使って、データベースがどうなっているのかを視覚的に確認するのがおすすめです。
pgAdminでサーバーに接続する
1.pgAdminを起動する
インストールされた「pgAdmin 4」を起動します。※初回の起動時には少し時間がかかります。
2.新しいサーバーを登録
左側のブラウザツリーで「Servers」を右クリックし、「Register」→「Server…」を選択します。
3.接続情報を入力して保存
- 「General」タブ
- Name: localhost(好きな名前でOK)
- 「Connection」タブ
- Host name/address: localhost
- Port: 5432
- Maintenance database: postgres
- Username: postgres
- Password: インストール時に設定したスーパーユーザーのパスワードを入力します。
「Save」ボタンをクリックします。
4.接続
左側のツリーにlocalhostというサーバーが追加され、エラーなく展開できれば、接続成功です!
最初のデータベースとテーブルを作ってみよう
「Webサイトの会員情報って、どこに保存されてるの?」「データベースって聞くけど、一体どんな仕組みなんだろう?」 プログラミングを学び始めると、避けては通れないのが**「データベース(DB)」**の世界です。現代のほとんどのI[…]
1.データベースの作成
追加したサーバーの下にある「Databases」を右クリックし、「Create」→「Database…」を選択します。
「Database」に「testdb」などと好きな名前を入力し、「Save」をクリックします。新しいデータベースが作成されます。
2.テーブルの作成
作成した「testdb」を展開し、「Schemas」→「public」→「Tables」を右クリックし、「Create」→「Table…」を選択します。
「General」タブで、テーブル名(例:users)を入力。
「Columns」タブで、「+」ボタンを押し、id(データ型: integer)、name(データ型: text)といったカラムを追加します。
「Save」をクリックすると、テーブルが作成されます。
「PostgreSQLをインストールしたけど、この後どうすればいいの?」「黒い画面(コマンドライン)での操作は、難しくてよくわからない…」「自分のアプリケーション専用の、データベースやユーザーを作るには?」 高[…]
まとめ
PostgreSQLのインストールは、
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Windowsでは**「公式インストーラー」**
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Macでは**「Homebrew」**
という、便利なツールを使えば、手順通りに進めるだけで、誰でも確実に行うことができます。
そして、**「pgAdmin」**というGUIツールは、データベースの複雑な構造を視覚的に理解する上で、初心者にとって最強の相棒となります。
高機能で堅牢なPostgreSQLの環境を手に入れたあなたは、もう本格的なWebアプリケーション開発の世界への扉の前に立っています。
さあ、この新しい基地で、データベースを操る楽しさを存分に味わってください!
「プログラミングを学ぶなら、SQLも知っておいた方がいいよ」「Webサイトの裏側では、データベースとSQLが動いているんだ」 ITの世界に足を踏み入れると、必ずと言っていいほど耳にする**「SQL(エスキューエ[…]