
「このWebサイトは、見ていて心地よいし、欲しい情報がすぐに見つかる!」
私たちがWebサイトやスマートフォンアプリを使うとき、無意識のうちに「使いやすい」「心地よい」あるいは「分かりにくい」「イライラする」といった感情を抱いていますよね。
この2つの言葉は、よく「UI/UX」と一括りにされますが、その意味は全く異なります。しかし、両者は切っても切れない、非常に深い関係にあるのです。
この記事では、IT知識ゼロの初心者の方でも、この重要なデザインの概念がスッキリと理解できるように、**「カレーライスを食べる」**という、誰もが経験したことのあるシチュエーションに例えながら、わかりやすく、徹底的に解説していきます。
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UIとは何か?
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UXとは何か?
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UIとUXの、決定的な違いと、その密接な関係
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なぜ、優れたUI/UXが、ビジネスの成功に不可欠なのか
UI (ユーザーインターフェース)とは?:「製品との接点」すべて
まず、UIは、User Interface(ユーザーインターフェース)の略です。
Webサイトやアプリにおいて、それは**「ユーザーが目にするもの、そして操作するもの、すべて」**と言い換えることができます。
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テキストのフォントや大きさ
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ボタンの色や形、配置
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アイコンのデザイン
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写真やイラスト
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入力フォーム
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ページ全体のレイアウト
【カレーライスの例えで考えるUI】
あなたがカレーライスを食べる場面を想像してください。
このとき、あなたと「カレーライス」という製品との接点(UI)となるのは、何でしょうか?
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お皿のデザインや形
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スプーンの持ちやすさ、すくいやすさ
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カレーとライスの盛り付け方(見た目の美しさ)
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福神漬けの配置場所
これらが、カレーライスにおけるUIです。
お皿が、持ちにくくてグラグラしていたり、スプーンが、重すぎて使いにくかったりしたら、せっかくのカレーも美味しく食べられませんよね。
UX (ユーザーエクスペリエンス)とは?:「製品を通じた体験」すべて
次に、UXは、User eXperience(ユーザーエクスペリエンス)の略です。
日本語では**「ユーザー体験」または「顧客体験」**と訳されます。
これは、UIのように、目に見える「モノ」ではありません。ユーザーの心の中に生まれる、**主観的な「感覚」**です。
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「このアプリ、使いやすくて、楽しい!」
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「このサイトで買い物をしたら、ワクワクしたし、届くのが待ち遠しい!」
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「問い合わせをしたら、すぐに丁寧な返事が来て、安心した。」
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「このサービスのおかげで、私の悩み事が解決して、スッキリした!」
このように、UXは、製品を**「使う前(期待感)」、「使っている最中(使い心地)」、そして「使った後(満足感や、また使いたいという気持ち)」**という、一連の体験すべてを包含する、非常に広くて、深い概念です。
【カレーライスの例えで考えるUX】
カレーライスにおけるUXとは、何でしょうか?
それは、単に「カレーの味」だけではありません。
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お店を見つけるまで:
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グルメサイトの口コミが良い。お店のWebサイトがおしゃれで、期待感が高まる。
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お店に入ってから:
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店員さんの接客が、とても気持ち良い。
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店内の雰囲気が、清潔で、居心地が良い。
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メニューが見やすくて、選びやすい。
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カレーを食べているとき:
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カレーが、すごく美味しい!(中核となる体験)
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お皿やスプーン(UI)が、使いやすい。
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お店を出た後:
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「美味しかったな、また来たい!」
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「友達にも、このお店をおすすめしたい!」
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UIとUXの決定的な違いと、その密接な関係
ここまで読んで、UIとUXの違いが、何となく見えてきたのではないでしょうか。
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UIは、「点」。ユーザーと製品が接する、具体的な「接点」や「部品」。
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UXは、「線」。それらの点を通じて生まれる、一連の「体験」や「物語」。
先ほどのカレー屋さんの例で、もし「カレーの味は最高なのに、お皿が汚れていて、スプーンもベトベトだったら…(UIが最悪)」、あなたのUX(体験)は、台無しになってしまいますよね。
逆に、「お皿もスプーンも最高級品なのに、肝心のカレーが絶望的にまずかったら…」、これもまた、最悪のUXです。
つまり、
「最高のUXは、優れたUIなしには成り立たない。しかし、UIが良いだけで、最高のUXが生まれるわけではない。」
これが、UIとUXの、切っても切れない関係性なのです。
なぜ、優れたUI/UXが、ビジネスの成功に不可欠なのか?
現代の市場には、モノやサービスが溢れかえっています。
どのECサイトも、同じような商品を、同じような価格で売っています。
どのSNSアプリも、似たような機能を持っています。
このような**「機能や価格での差別化が難しい時代」において、ユーザーが何をもって、そのサービスを選び、そして使い続けてくれるのか?
その答えが「UX(体験の価値)」**なのです。
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「あのアプリは、使っていて、なんだか気分が良い」
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「このサービスは、私のことを、よく分かってくれている気がする」
この、言葉にするのは難しい、ポジティブな「感情」こそが、ユーザーを惹きつけ、ファンにし、そして口コミを生む、現代における最も強力な**「競争優位性」**となります。
優れたUI/UXデザインは、もはや単なる「お飾り」ではありません。それは、
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顧客満足度の向上
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ブランドイメージの向上
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サービスの継続利用率(リテンション)の向上
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口コミによる新規顧客の獲得
に直結する、**ビジネスの成否を左右する、極めて重要な「戦略」**なのです。
まとめ:UIは「手段」、UXは「目的」
UIとUX。この2つの言葉の意味を、もう一度、シンプルにまとめてみましょう。
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UI (ユーザーインターフェース)
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WHAT(何):ユーザーが触れる、具体的な「モノ」や「見た目」。
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役割:情報を分かりやすく伝え、操作をスムーズにさせるための**「手段」**。
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UX (ユーザーエクスペリエンス)
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HOW(どう感じるか):ユーザーが製品を通じて得る、「体験」や「感情」。
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役割:ユーザーを満足させ、ファンにすることが最終的な**「目的」**。
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プログラミング初心者として、あなたがこれからアプリケーションを創る側になるとき。
単に「動くもの」を作るだけでなく、
- 「これを使う人は、どんな気持ちになるだろうか?」
- 「どうすれば、もっと楽しく、もっと快適に使ってもらえるだろうか?」
という、**ユーザーへの「共感」と「思いやり」**の視点を持つこと。
それが、あなたの創るソフトウェアに、魂を吹き込み、多くの人々に愛される、本当に「価値ある」プロダクトへと昇華させるための、最も重要な第一歩となるでしょう。
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