【初心者向け】プラットフォームエンジニアリングとは?DevOpsとの違いから役割まで徹底解説!

【初心者向け】プラットフォームエンジニアリングとは?DevOpsとの違いから役割まで徹底解説!

【初心者向け】プラットフォームエンジニアリングとは?DevOpsとの違いから役割まで徹底解説!
疑問に思う顔
「DevOps(デブオプス)は知ってるけど、最近聞く『プラットフォームエンジニアリング』って何?」
「開発者のためのプラットフォームを作るって、具体的にどういうこと?」
「これからのエンジニアは、みんなプラットフォームエンジニアを目指すべきなの?」

 

DevOps、CI/CD、マイクロサービス…目まぐるしく進化を続ける、現代のソフトウェア開発の世界。その最前線で、今、最も大きな注目を集めている新しい概念、それが**「プラットフォームエンジニアリング(Platform Engineering)」**です。

 

これは、単なる流行り言葉ではありません。ソフトウェアを**「いかに速く、高品質に、そして安全に」**ユーザーに届け続けるか、という永遠の課題に対する、一つの洗練された「答え」なのです。

 

一言でいうと、プラットフォームエンジニアリングとは、「アプリケーション開発者が、インフラや運用の複雑な部分を一切気にすることなく、本来の『モノづくり』に100%集中できるように、社内に『高速道路』や『便利な道具セット』のような、使いやすい共通基盤(プラットフォーム)を専門チームが構築・提供する、という考え方・取り組み」のことです。

 

この記事では、IT知識ゼロの初心者の方でも、この新しい開発アプローチの本質がわかるように、**「料理と厨房」**に例えながら、わかりやすく徹底的に解説していきます。

開発者の「めんどくさい」を解消し、組織全体の生産性を爆上げする、未来の開発の形を覗いてみましょう。

 

  • プラットフォームエンジニアリングが生まれた背景(DevOpsの課題)

  • 具体的な仕事内容と、その目的

  • DevOpsとの決定的な違いと、その深い関係性

  • なぜ、世界中の企業が今、注目しているのか

 

 

物語の始まり:DevOpsがもたらした「新たな負担」

物語の始まり:DevOpsがもたらした「新たな負担」

 

プラットフォームエンジニアリングの価値を理解するには、まず、その前段にある**「DevOps」**が、開発現場に何をもたらしたかを知る必要があります。

 

DevOpsは、**開発チーム(Dev)運用チーム(Ops)の間にあった「壁」を取り払い、両者が協力することで、ソフトウェアのリリース速度を向上させる、画期的な「文化・哲学」**でした。

 

このDevOpsの考え方に基づき、「You build it, you run it(作ったものが、運用する)」という標語のもと、アプリケーション開発者自身が、

  • CI/CDパイプラインの構築(テストやデプロイの自動化)

  • IaC (Infrastructure as Code) を使ったインフラの構築(AWS, GCPなどのクラウド設定)

  • コンテナ技術(Docker, Kubernetes)の管理

  • 監視ツールの設定

といった、これまで運用チームが担ってきた、幅広い領域まで責任を持つようになりました。

 

これにより、開発から運用までのプロセスは、確かにスムーズになりました。

しかし、その一方で、アプリケーション開発者には、新たな、そして非常に重い負担がのしかかることになったのです。

 

それは、「認知負荷(Cognitive Load)」の爆発的な増大です。

本来、ユーザーのための新機能開発や、ビジネスロジックの実装といった**「アプリケーション開発(料理のレシピを考えること)」**に集中したいはずの開発者が、

 

困った顔で働く会社員のイラスト(男性)

「KubernetesのYAMLファイル、書き方が複雑すぎる…」

「AWSのIAMロールの設定、セキュリティ的にこれで合ってる…?」

「CI/CDのパイプラインがエラーで止まったけど、原因がわからない…」

といった、**インフラや運用に関する、非常に広範で、専門的な知識(厨房設備のメンテナンスや、水道・ガス工事の知識)**まで、すべてを習得し、管理しなければならなくなったのです。

 

これでは、まるで一流のシェフに、厨房の配管工事までやらせているようなもの。本来の料理(開発)のスピードも質も、落ちてしまうのは当然です。
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救世主の登場:プラットフォームエンジニアリングという「最高の厨房」

救世主の登場:プラットフォームエンジニアリングという「最高の厨房」

 

この「開発者の認知負荷」という、DevOpsがもたらした新たな課題を解決するために登場したのが、**「プラットフォームエンジニアリング」**です。

 

プラットフォームエンジニアリングの目的は、非常にシンプルです。

 

「開発者の体験(Developer Experience / DX)を最大化し、彼らがインフラの複雑さから解放され、価値創造に集中できる環境を提供すること」

 

そのために、**「プラットフォームエンジニアリングチーム」と呼ばれる専門のチームが、社内の開発者たちを「顧客(カスタマー)」**とみなし、彼らのための製品(プロダクト)を開発・提供します。

その製品こそが、**「内部開発者プラットフォーム(IDP: Internal Developer Platform)」**です。

 

内部開発者プラットフォーム(IDP)とは?

IDPとは、開発者がアプリケーションを開発し、世の中にリリースするために必要な、あらゆるツール、サービス、知識を、一つの使いやすい「プラットフォーム」として統合・提供するものです。

 

先ほどの料理の例えで言うなら、プラットフォームエンジニアリングチームは**「最高の厨房環境を設計・提供する、厨房設備専門チーム」**です。彼らが提供するIDP(究極の厨房)には、以下のような機能が備わっています。

 

  • 「Webアプリコース」「バッチ処理コース」といったメニューを選ぶだけで、必要なインフラ(AWSの構成など)が、ボタン一つで自動的に用意される。
    → 開発者は、IaCのコードを一行も書く必要がない。

  • ソースコードをGitにプッシュするだけで、CI/CDパイプラインが自動的に走り出し、テストからデプロイまでが、全自動で完了する。
    → 開発者は、CI/CDツールの複雑な設定を一切知る必要がない。

  • 監視やロギングの仕組みが、最初から標準装備されている。
    → 開発者は、面倒な監視設定をしなくても、すぐにアプリケーションの状態を把握できる。

 

このように、プラットフォームエンジニアリングは、開発者が**「セルフサービス」で、かつ「ガードレール(安全柵)」**に守られながら、インフラやツールを利用できる環境を整備します。

開発者は、もはや「厨房の配管工事」について悩む必要はありません。ただ、プラットフォームという「蛇口」をひねるだけで、いつでも安全で、最適な温度のお湯を手に入れ、最高の料理(アプリケーション開発)に集中できるのです。

 

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DevOpsとの違いと、その深い関係性

DevOpsとの違いと、その深い関係性

 

DevOps プラットフォームエンジニアリング
分類 文化・哲学・考え方 具体的なアプローチ・実践手法
目的 開発と運用のサイロ(壁)をなくし、ビジネス価値の提供を高速化する 開発者の認知負荷を下げ、開発体験(DX)を向上させる
主な関心事 組織間のコラボレーション、プロセスの自動化 開発者が使うツールチェーン、共通基盤、セルフサービス
関係性 DevOpsという**「目的地(理想)」** その目的地に、大規模な組織で、効率的に到達するための**「乗り物(手段)」**

 

重要なのは、プラットフォームエンジニアリングは、DevOpsと対立する概念ではない、ということです。

むしろ、DevOpsという文化を、組織全体で、持続可能かつスケーラブルな形で実現するための、**非常に強力な「実装パターン」**なのです。

 

DevOpsが「開発者も運用のことを考えよう!」という意識改革を促したのに対し、プラットフォームエンジニアリングは、「開発者が運用のことを考えなくても済むように、仕組みで解決しよう!」という、より現実的で、具体的なアプローチと言えます。

 

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プラットフォームエンジニアの役割と必要なスキル

プラットフォームエンジニアの役割と必要なスキル

 

プラットフォームエンジニアは、

  • ソフトウェアエンジニアリング

  • インフラエンジニアリング(特にクラウド、コンテナ技術)

  • SRE(サイト信頼性エンジニアリング)

  • プロダクトマネジメント

といった、非常に幅広い分野のスキルと知識を融合させた、新しいタイプのエンジニアです。

 

必要なスキル

  • 技術スキル:AWS/GCP/Azureといったクラウド、Docker/Kubernetesといったコンテナ技術、Terraform/AnsibleといったIaCツール、CI/CDツールの深い知識は必須です。

  • ソフトウェア開発能力:プラットフォーム自体を、一つの「製品」として開発するため、プログラミング能力(Go, Pythonなど)も求められます。

  • プロダクトマネジメント視点:社内の開発者を「顧客」とみなし、彼らの本当の課題(ペイン)は何かをヒアリングし、それを解決するようなプラットフォームを企画・設計する能力。

 

まとめ

まとめ

 

プラットフォームエンジニアリングは、DevOpsの理想を、より現実的な形で、大規模に実現するための、現代における**ソフトウェア開発の「最適解」**の一つです。

 

それは、開発者を、本来やるべきではないインフラの複雑さという「認知負荷」から解放し、ユーザーのための価値創造という、最も創造的で、最も楽しい仕事に集中させてくれる、開発者のためのエンジニアリングです。

 

「プラットフォーム」という名の、舗装された高速道路があれば、誰もが、安全に、そして迷うことなく、目的地(価値の提供)まで、最速でたどり着くことができる。

 

あなたがこれからプログラミングを学び、開発の現場に入ったとき、そこには、プラットフォームエンジニアたちが作り上げた、素晴らしい開発者体験が待っているかもしれません。

そして、いつかあなたも、仲間である開発者の仕事を楽にする、このエキサイティングな役割に挑戦する日が来るかもしれません。

 

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