
「クラウドエンジニアって、なんだかカッコよさそうだけど、具体的に何をする人なの?」
今、IT業界で最も需要が高く、将来性にあふれている職種の一つ、それが**「クラウドエンジニア」**です。
彼らは、現代のITサービスのあり方を根本から変える、まさに時代の寵児とも言える存在です。
一言でいうと、クラウドエンジニアとは**「インターネット上にある、巨大で万能なIT基地(=クラウド)を使いこなし、システムやサービスの土台を自由自在に設計・構築する専門家」**のことです。
この記事では、IT知識ゼロの初心者の方でもクラウドエンジニアの仕事がわかるように、わかりやすく解説していきます。
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そもそも「クラウド」とは何か?
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クラウドエンジニアの具体的な仕事内容
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従来のエンジニアとの決定的な違い
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クラウドエンジニアの魅力と、なるためのステップ
大前提:そもそも「クラウド」って何?
クラウドエンジニアを理解するには、まず「クラウド」の正体を知る必要があります。
クラウド(Cloud Computing)とは、サーバーやストレージ、データベース、ソフトウェアといったITリソース(資源)を、インターネット経由で、必要な時に必要な分だけ利用できるサービスのことです。
これまでは、企業がシステムを動かすには、自社で物理的なサーバーマシンを購入し、社内に設置・管理する必要がありました(これをオンプレミスと言います)。
しかし、クラウドを使えば、
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サーバーを買わなくていい:AmazonやGoogleといった巨大企業が用意してくれた、高性能なサーバーをインターネット経由で「レンタル」できる。
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使った分だけ支払えばいい:電気や水道のように、利用した分だけの従量課金制。初期投資が大幅に抑えられる。
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数分で準備できる:物理的なサーバーの納期を待つ必要なく、Webの管理画面を数クリックするだけで、数分後にはサーバーが使えるようになる。
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世界中どこからでもアクセスできる:インターネットさえあれば、どこからでもシステムの管理や操作が可能。
「クラウドってよく聞くけど、なんだか難しそう…」「AWSとかGCPとか、アルファベット3文字が並んでいて違いがわからない…」 ITの世界に足を踏み入れたばかりの方なら、誰もが一度はこう思うのではないでしょうか。 しかし、安心[…]
クラウドエンジニアの具体的な仕事内容
クラウドエンジニアの仕事は、従来のインフラエンジニアと同様に「設計」「構築」「運用」のフェーズに分かれますが、その中身はクラウドならではのダイナミックなものになります。
1. 設計フェーズ:「最適で最強」なクラウド構成を考える
顧客の「こんなサービスを作りたい」という要望に対し、「その目的を達成するために、どのクラウドサービスの、どの機能を、どう組み合わせるのが最適か」を考え、設計図を描きます。
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サービスの選定:AWSだけでも200以上のサービスがあります。仮想サーバー、データベース、AI、データ分析など、無数の「レゴブロック」の中から、コスト、性能、セキュリティのバランスが最も良い組み合わせを選び抜きます。
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可用性の設計:例えば、東京リージョン(データセンターの拠点)で大規模な災害が起きても、自動的に大阪リージョンに切り替わってサービスが止まらないような「冗長構成」を設計します。
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拡張性の設計(オートスケーリング):Webサイトへのアクセスが急増した時に、自動でサーバーの台数を増やし、アクセスが減れば自動で減らす、といった設定を設計します。これにより、機会損失を防ぎつつ、無駄なコストを削減できます。
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セキュリティの設計:不正アクセスを防ぐためのネットワーク設定や、データの暗号化、アクセス権限の管理など、クラウド上で安全な環境をどう実現するかを設計します。
2. 構築フェーズ:コードでインフラを自動構築する
設計図ができたら、いよいよ構築です。オンプレミスのように物理的な機器を設置する作業は一切ありません。Webの管理画面(マネジメントコンソール)でポチポチと設定することもできますが、プロのクラウドエンジニアは**「IaC (Infrastructure as Code)」**という手法を用います。
IaCとは、サーバーやネットワークといったインフラの構成を、プログラミングコードで記述し、自動で構築することです。
これには絶大なメリットがあります。
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スピードと正確性:手作業による設定ミスがなくなり、複雑な環境でも数分で正確に再現できる。
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再利用性:一度書いたコードは、別のプロジェクトでも再利用できる。
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変更管理の容易さ:インフラの構成がコードとして記録されているため、「いつ、誰が、何を」変更したかが一目瞭然になる。
3. 運用・保守フェーズ:自動化を駆使して効率的に守る
システムが稼働した後は、安定稼働を守るための運用・保守を行います。ここでもクラウドエンジニアは「自動化」を武器にします。
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監視の自動化:CloudWatchなどの監視サービスを使い、サーバーの異常などを検知したら、自動的に管理者にアラート通知(メールやチャット)が飛ぶように設定します。
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障害対応の自動化:特定のサーバーが応答しなくなったら、自動的にそのサーバーを切り離し、新しい正常なサーバーを起動させる、といった自己修復の仕組みを構築することも可能です。
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コスト最適化:利用状況を分析し、不要なリソースがないか、もっと安いサービスに置き換えられないかを常に検討し、コスト削減に努めます。
クラウドエンジニアの魅力と将来性
クラウドエンジニアが「花形」と呼ばれるのには、明確な理由があります。
魅力・やりがい
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圧倒的な需要と将来性:今や、あらゆる企業がクラウド利用を進める「クラウドファースト」の時代です。クラウドを扱えるエンジニアは引く手あまたで、今後も需要は伸び続けると予測されています。
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高い年収水準:需要の高さと専門性から、エンジニア職の中でも年収はトップクラスです。スキルと経験次第で、若いうちから高収入を目指せます。
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技術の最前線に立てる:クラウドサービスは、AIやIoT、データ分析といった最新技術の実験場でもあります。常に新しい技術に触れ、自分のスキルをアップデートし続ける刺激的な環境です。
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場所に縛られない働き方:インフラがすべてインターネット上にあるため、物理的な出社を必要としないケースが多く、リモートワークとの相性が非常に良いです。
必要なスキル
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インフラ全般の基礎知識:クラウドは便利ですが、その根底にあるサーバー、ネットワーク、OS、セキュリティといった基礎知識がなければ、適切な設計はできません。
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主要クラウドサービスの知識:特にシェアNo.1のAWSに関する深い知識は、ほぼ必須と言えます。
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プログラミングスキル:IaCを実践するための知識(Terraformなど)や、運用を自動化するためのスクリプト言語(Pythonなど)のスキルが求められます。
クラウドエンジニアになるには?
未経験からでも、正しいステップを踏めばクラウドエンジニアになることは十分に可能です。
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インフラの基礎を学ぶ:まずは、オンプレミスの知識も含め、サーバー(Linux)とネットワーク(TCP/IP)の基礎を徹底的に学びましょう。ここがすべての土台です。
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資格を取得して知識を証明する:クラウドのスキルは目に見えにくいため、資格が非常に有効なアピールになります。まずは**「AWS認定 クラウドプラクティショナー」から始め、次のステップとして「AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト」**の取得を目指すのが王道のキャリアパスです。
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実際にクラウドを触ってみる:AWSなどには「無料利用枠」が用意されています。これを利用して、自分で仮想サーバーを立ててみたり、簡単なWebサイトを公開してみたりと、実際に手を動かして学ぶことが何よりも重要です。
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インフラエンジニアとしてキャリアをスタート:未経験の場合、まずはオンプレミスも含めたインフラエンジニアとして就職し、実務経験を積みながらクラウド案件に挑戦していくのが現実的なルートです。最初からクラウド案件を扱う企業に絞って就職活動をするのも良いでしょう。
まとめ
クラウドエンジニアは、もはや単なるインフラエンジニアの一分野ではありません。サーバー、ネットワーク、セキュリティ、そしてプログラミングの知識を総動員し、クラウドという強力な武器を使いこなして、ビジネスのスピードと可能性を最大化する、新しい時代のITアーキテクトです。
技術の進化が速く、常に学び続ける姿勢が求められる厳しい世界ですが、それ以上に大きなやりがいと将来性に満ちています。
もしあなたが、ITの力でビジネスを根底から変えるような、ダイナミックで未来志向の仕事に挑戦してみたいなら、クラウドエンジニアという道は、最高の選択肢の一つになるはずです。
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