
「ちょっとしたデータを管理するのに、MySQLやPostgreSQLは大げさすぎる…」
「Pythonやスマホアプリ開発で、SQLiteっていう名前が出てきたけど、これ何?」
プログラミング学習の第一歩として、手軽に、そして簡単にデータベースに触れてみたい。そんなあなたに、まさにうってつけのデータベースがあります。
それが**「SQLite(エスキューライト)」**です。
一言でいうと、SQLiteとは**「サーバー不要で、単一のファイルとして存在する、超軽量で手軽なデータベース」**のことです。
MySQLやPostgreSQLが、専門のサーバーソフトウェアをインストールし、サービスとして常時起動させておく必要がある「本格的なレストラン」だとすれば、SQLiteは**「必要な道具がすべて詰まった、どこにでも持っていける『魔法のお弁当箱』」**のような存在。準備も片付けも簡単で、すぐに美味しいご飯(データ管理)が食べられます。
この記事では、プログラミング知識ゼロの初心者の方でも、今日からSQLiteを使いこなせるように、わかりやすく、徹底的に解説していきます。
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SQLiteの「インストール不要」の本当の意味
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Windows/Mac共通:コマンドラインツールの準備
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必須のGUIツール「DB Browser for SQLite」の導入と使い方
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なぜSQLiteが多くの場所で愛用されているのか
SQLiteの最大の特徴:「サーバーレス」と「単一ファイル」
SQLiteを理解する上で、他のデータベースとの決定的な違いは、以下の2点です。
1. サーバーレス (Serverless)
MySQLやPostgreSQLは、「クライアント/サーバー型」です。データベースサーバーという「店員さん」が常に待機していて、クライアント(私たちのプログラム)が「お客さん」としてお願いをしに行く、という形でした。
店員さんを介さず、自分のお弁当箱から、自分で直接おかずを取り出すイメージです。これにより、面倒なサーバーのインストールや設定、起動といったプロセスが一切不要になります。
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2. 単一ファイル (Single File)
SQLiteのデータベースは、すべてのデータ(テーブル、レコードなど)が、たった一つのファイル(例:mydatabase.db)として保存されます。
このファイルさえあれば、データベースのすべてを持ち運ぶことができます。バックアップも、このファイルをコピーするだけ。非常にシンプルで、管理が驚くほど簡単です。
SQLiteの「インストール」:コマンドラインツールを準備しよう
「サーバーのインストールは不要」ですが、データベースを操作するための**「コマンドラインツール(CUI)」**は、公式サイトからダウンロードして準備する必要があります。
これは、お弁当箱を開けて、中身を操作するための「お箸」を手に入れるようなものです。
【Windows編】
1.公式サイトからダウンロード
SQLiteの公式サイトのダウンロードページにアクセスします。
2.zipファイルをダウンロード
Precompiled Binaries for Windows を探す
ページの中から、「Precompiled Binaries for Windows」というセクションを探します。
sqlite-tools-win-x64-*.zip(64bit版の場合)のような、-tools- と名前がついているzipファイルのリンクをクリックして、ダウンロードします。
4.ファイルを解凍し、配置
C:\ドライブ直下などに、sqliteといった分かりやすい名前のフォルダを作成し、解凍したファイルをすべて、その中に移動させます。(例:C:\sqlite)
ダウンロードしたzipファイルを解凍(展開)します。※中にはsqlite3.exeなど、いくつかのファイルが入っています。
解凍したフォルダを先ほど作成したフォルダへ移動します。
5.環境変数(Path)を設定する
PCのどこからでもsqlite3コマンドを使えるように、Pathを通します。
Windowsの検索バーで「環境変数」と検索し、「システム環境変数の編集」を開く。
「環境変数」ボタンをクリック。
「システム環境変数」の欄で「Path」を選択し、「編集」→「新規」をクリック。
先ほどファイルを配置したフォルダのパス(例:C:\sqlite\解凍したときのフォルダ名\)を入力し、「OK」をすべてクリックして閉じます。
※末尾に”\”マークを入力するのを忘れずに!
6.動作確認
「Windowsキー」+「Rキー」をクリックし、”cmd”と入力し、「OK」ボタンをクリックして、コマンドプロンプトを開きます。
コマンドプロンプトを新しく起動し、以下のコマンドを入力します。
Generated bash
sqlite3 -version
【Mac編】
Macの場合、macOSには標準でSQLiteのコマンドラインツールがプレインストールされていることがほとんどです。
「ターミナル」アプリを起動し、以下のコマンドを試してみてください。
Generated bash
sqlite3 --version
バージョン情報が表示されれば、何もする必要はありません。すぐにSQLiteを使い始められます。
もし、コマンドが見つからない場合や、より新しいバージョンを使いたい場合は、Homebrewで簡単にインストールできます。
Generated bash
brew install sqlite
必須GUIツール「DB Browser for SQLite」の導入
コマンドラインでの操作は強力ですが、初心者にとっては少しハードルが高いかもしれません。
そこで、SQLiteをExcelのように、グラフィカルな画面で直感的に操作できる、最強の無料ツール「DB Browser for SQLite」を導入しましょう。
1.公式サイトからダウンロード
DB Browser for SQLiteの公式サイトにアクセスし、トップページの「Download」ボタンをクリックします。
※リンクの遷移先が「Download」ボタンをクリックした先になっています。違う場合は、「Download」ボタンをクリックします。
2.インストーラーを選択
お使いのOS(Windows / macOS)に合った、標準のインストーラー(例:DB.Browser.for.SQLite-vX.X.X-win64.msi)を選択してダウンロードします。
※手順ではWindowsで行います。赤枠の「Windows」リンクテキストをクリックします。
3.インストールを実行
ダウンロードしたインストーラーをダブルクリックし、画面の指示に従ってインストールを進めます。基本的には、デフォルト設定のままでOKです。
ダウンロードしたインストーラーをダブルクリックします。
「Next」ボタンをクリックします。
ライセンスにて同意のチェックをONにし、「Next」ボタンをクリックします。
ショートカットをどこに作成するかですが、デフォルトのままで問題ないので、「Next」ボタンをクリックします。
※デスクトップに作成したい場合、「Desktop」のチェックをONにしてから「Next」ボタンをクリックします。
フォルダ階層の設定です。デフォルトのままでOKなので、「Next」ボタンをクリックします。
全ての設定が終了しましたので、「Install」ボタンをクリックします。
インストール完了です。「Finish」ボタンをクリックし、画面を閉じます。
「DB Browser for SQLite」で、最初のデータベースを作ってみよう!
それでは、実際にデータベースを作成し、データを操作してみましょう。
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1.DB Browser for SQLiteを起動
Windowsの検索バーで「DB Browser for SQLite」と検索し、先ほどインストールした「DB Browser for SQLite」を起動します。
2.新しいデータベースを作成
左上にある「新しいデータベース」ボタンをクリックします。
保存場所を聞かれるので、デスクトップなど分かりやすい場所を選びます。
ファイル名を「test.db」などと入力して、「保存」をクリックします。
これだけで、あなたのPC上に、空っぽのデータベースファイルが作成されました!
3.新しいテーブルを作成
次に、データベースの中に、データを格納するための「テーブル(表)」を作成します。
「テーブルを編集」というダイアログが自動で表示されます(表示されない場合は、「データベース構造」タブで「テーブルを作成」ボタンを押す)。
テーブル名: usersと入力します。
フィールド(カラム)の追加: 右側の「フィールドを追加」ボタンを4回クリックし、以下の4つのカラムを作成します。
- id: 型をINTEGERにし、PK(主キー), AI(自動インクリメント)にチェック。
- name: 型をTEXTにし、NN(Not Null)にチェック。
- email: 型をTEXTにする。
- age: 型をINTEGERにする。
設定が終わったら、「OK」ボタンをクリックします。これでusersテーブルが完成しました。
4.データを閲覧・追加する
メイン画面の上部にある**「データ閲覧」**タブをクリックします。
「テーブル」のドロップダウンリストから、先ほど作成した「users」テーブルを選択します。
**「新しいレコード」**ボタンをクリックし、name, email, ageの欄に、山田太郎さんなどの架空のデータを入力してみましょう。
入力が終わったら、**「変更を書き込む」**ボタンを押すのを忘れないでください。これで、データがデータベースファイルに保存されます。
5.SQLを実行してみる
- **「SQL実行」**タブをクリックします。
- 上のエディタ部分に、以下のSQL文を入力してみましょう。
Generated sql
SELECT * FROM users WHERE age >= 30;
- **「SQLを実行」(再生ボタン)**をクリックします。
下半分の「実行結果」の欄に、30歳以上のユーザーのデータだけが表示されれば、大成功です!
まとめ:SQLiteは、データベース学習の最高の「最初の友達」
SQLiteは、サーバー不要で、ファイル一つで完結する、驚くほど手軽なデータベースです。
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面倒なインストールや設定がほとんど不要。
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「DB Browser for SQLite」を使えば、直感的に操作できる。
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PythonやPHP、スマホアプリ開発など、多くのプログラミング言語に標準で組み込まれている。
プログラミングの学習において、データベースの概念、特に**SQLの基本を学ぶための「練習台」**として、SQLiteは最高の「最初の友達」となってくれるでしょう。
まずは、この記事を参考に「DB Browser for SQLite」を導入し、自分だけのデータベースファイルを作ってみることから、データ操作の世界に足を踏み入れてみてください。
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